2024年問題でドライバーの走行距離はどう変わる?長距離輸送の課題

2024年以降、自動車運転等の業務にあたるドライバーの残業時間に上限規制が設けられます。これによって、1日に移動できる距離も短くなってしまう可能性が高いでしょう。

この問題を回避するためには、これまでの物流の在り方を根本的に見直し、業務効率を上げていく必要があります。運送会社と荷主企業が取れる対策について解説します。

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2024年問題における走行距離減少の課題

2024年問題によってドライバーの労働時間に制限がかかると、結果としてひとりのドライバーが連続して走行できる距離にも影響を及ぼすことになります。2024年以降、これまでと同じように運転を行うのは困難になる可能性が高いでしょう。

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年間時間外労働の上限規制により走行距離が減少

2024年から、トラックドライバーなど「自動車運転の業務」に従事する従業員の残業時間に上限が設けられることになります。

そもそも2024年問題とは、働き方改革関連法に定められている残業時間の上限規制によって起こる問題を指します。残業時間の上限規制は、すでに一般企業ではスタートしていますが、自動車運転の業務といった一部の業種では施行が猶予されていました。しかし、2024年4月1日からは、一般企業とは一部内容を変えて適用されることになります。

適用後は、特別条項付きの36協定を結んだとしても、年間960時間を超える残業をさせることができなくなります。これは、1日あたりの運転時間11時間、1日あたりの走行距離490kmに相当します。

2024年以降、長時間の単独運転による長距離輸送は難しくなるでしょう。そのため、どのように品物を運ぶのかを考えなければいけなくなります。

1日の走行距離は往復で約250km

法改正後、ひとりのドライバーが1日で往復できる距離は、片道約250kmです。東京から250kmというと、松本や郡山あたりまででしょう。東京から大阪はもちろん、名古屋までの往復でも若干250kmをオーバーしてしまいます。

2024年以降は、交代なく走らせることができる距離がどのあたりまでなのかを検討し直したうえでドライバーの手配を行う必要が出てきます。

2024年問題に備えて走行距離を減らすには?

2024年以降は、残業時間の上限規制に対応できる形でドライバーのスケジュールを組まなければいけません。長時間の運転が難しくなる中で長距離の物流網を維持するためには、新たな技術や運輸方法を積極的に取り入れていく必要があるでしょう。

モーダルシフト

モーダルシフトとは、鉄道や船舶を利用した運輸のことです。長距離の輸送をする際に、すべての道程をトラックで運ぶのではなく、トラックと鉄道や船舶を組み合わせて運搬を行います。

モーダルシフトには、以下のメリットがあります。

・トラックの運行距離を減らして環境負荷を減らす

・トラックの運行距離を減らすことで残業時間の上限規制に対応できる

・移動距離が長くなるほどコスト削減につながりやすい

ただし、その一方で運輸にかかる時間が長くなりがちという問題もあります。

共同輸送

共同輸送は、複数の企業の荷物をひとつのトラックで運ぶことで積載率を高める手法です。

多くのメーカーからの納品物を取り扱っている小売店があったとしましょう。この小売店にそれぞれのメーカーが個別に品物を納品するとなると、それだけ多くのトラックが必要ですし、小売店側も納品作業の手間がかかります。一方、共同輸送を行って、宛先が同じ複数メーカーの荷物を同じトラックで運ぶようにすれば、トラックの積載率が上がり、小売店の手間も減らせるのです。

トラックの積載率は年々減少傾向にあり、効率が悪い状態に陥っていると考えられます。共同輸送は、こうした問題を解決できる画期的な方法です。

ただし、利用するためには企業同士の協力が不可欠です。

VMIセンターを利用

VMIセンターは、サプライヤーによる在庫の一括管理を行う「VMI」のための共同物流センターです。

輸送が必要なものを個別に最終納品先まで送るのではなく、VMIセンターに一括で大口輸送した後で個別の納品先に運ぶことで、効率よく物品を運ぶことができます。

また、在庫拠点をひとつではなく複数エリアに用意することで、まとめて輸送できる体制を整えるという手法もあります。

2024年問題以降の走行距離は効率化する必要がある

2024年以降、1日の走行距離の目安は片道250kmになると説明しましたが、実際の指針となるのは、走行距離や走行時間ではなく、ドライバーの労働時間です。11時間ずっと走っていた場合でも、走っていたのは5時間だけで、残りの6時間は待機時間だったという場合でも、労働時間は同じ11時間です。

残業時間に上限が設けられた中で、できる限り効率よく遠くまで荷物を運ぶためには、走行以外の業務にかかる時間をできる限り減らし、効率化していく必要があります。

運送会社側の対策

運送会社にとって、効率よく物品を運べるようにすることは非常に重要です。効率化が進めば、それだけ少ない人件費とコストで品物を運べるようになるからです。

2024年問題を解決し、業務効率化を進めるために取れる3つの対策を紹介します。

運行管理のデジタル化

手動で行っていた運行管理をデジタル化することで、より細かく、正確な管理ができるようになります。いつ、どのタイミングでどのドライバーがどこにいるのかが明確になることから、ドライバー同士の協力体制を作りやすくなりますし、配車計画の無駄も見つけやすくなるでしょう。

さらに、スケジュール管理のデジタル化は、事務手続きや管理にかかる時間の抑制にもつながります。

トラック予約システムの導入

ドライバーの待機時間を短縮できれば、その分運行に時間を割けるようになります。待機時間を短縮するために、トラック予約システムの導入を検討しましょう。

ドライバーの労働時間が長時間に及ぶ原因のひとつに、荷待ち時間があります。トラック輸送状況の実態調査によると、1運行あたりの荷待ち時間は平均1時間45分で、55.1%で1時間以上の荷待ち時間が発生しています。

倉庫に到着する時刻を事前に予約しておくことで、他社のトラックの荷下ろしを待たずにスムーズな配送ができるでしょう。その結果、運転に多くの時間をさけるようになれば、長距離の運行が可能になります。

貨物のパレット化

貨物をパレットに乗せて運ぶことで、荷物の積み下ろしにかかる時間と手間を大幅に軽減できます。

パレット化には、積載量の低下を招くという難点もありますが、それをふまえても導入のメリットは大きいと言えるでしょう。納品先にとっても、荷物が個別に届くのではなくまとまって運ばれることにはメリットがあります。荷主にメリットを説明した上で、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

荷主側の対策

2024年問題は、運送会社だけの問題ではありません。これまで通りの運送ができなくなるということですから、荷主企業にも影響が及びます。

荷主企業も、運輸会社やドライバーに対して協力を行い、上限規制の範囲内でできるだけ長距離の運行ができるように工夫をしていきましょう。

250km圏内に中継地点を作る

残業時間の上限規制に引っかからない距離に中継地点があれば、無理なく日帰りで輸送を行うことができます。250km圏内に中継地点を作り、ドライバーの休息や荷物の載せ替え、ヘッド交換などに活用しましょう。

中継地点を手軽に作る方法のひとつに「ドラ基地」があります。これは、運送業者同士が協力し合い、敷地を中継地点として活用することで、複数の拠点を利用できるようにするサービスです。

機械荷役への転換

荷物の積み下ろしを機械で行うようにすれば、待ち時間や作業時間を減らせまます。運行以外にかかる時間が減れば、その分運行に時間をかけられますから、より長距離の輸送ができるようになるでしょう。

また、これまでドライバーが荷物の積み下ろしを行っていた現場では、機械荷役に転換することで肉体労働が不要になり、負荷の軽減につながります。

宅配ボックスの設置

小口の配送品の場合、荷物を受け取る側が宅配ボックスを設置しておけば再配達の手間がなくなります。

物流業界の中でも、特に宅配業界においては、個人宅の再配達業務にかかる時間が問題になります。効率よく配達を進めるために、宅配ボックスの設置を推進しましょう。

まとめ

2024年問題によって、より効率よく物を運ぶ必要性が高まっていくでしょう。運送会社や荷主企業の中には、2024年問題をネガティブにとらえるケースがあるかもしれませんが、旧態依然とした体制を変革し、業務改革を行う絶好の機会ととらえることもできます。この機会に、ドライバーの長時間労働に立脚された長距離輸送の在り方を見直し、効率化を進めていきましょう。

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