脱PDCAからOODA思考への挑戦

執筆者
中川豊章
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意外と知られていない「PDCA思考は日本型、世界はOODA思考」

このタイトルを読んで多くのビジネスパーソンが驚いたと思います。新入社員として入社した多くの方は、研修で「PDCAの大切さ」を学んだのではないでしょうか?私は30代ですが、私より上の世代は間違いなく学んでいると思います。このPDCA思考法は厳しい言い方をすると時代遅れとなっていると言われています。しかも、世界ではPDCAは使われていないのです。何故日本だけがPDCA思考になったのかは歴史的な話か民族学的な話があるとは思いますが、このPDCAをベースとした思考法が昭和の時代の日本を支え、成長させてきました。製造業の製造現場のような決まった品質、より高い品質の大量生産の現場にはPDCAの考え方がマッチしていました。日本人の真面目な性格も相まって、PDCAのP(プラン)に時間をかけ、試行錯誤の末、完璧なプランを作り実行をしてきました。しかし、このPDCAには欠点がありました。それは「スピード」「柔軟さ」です。これも日本人の真面目さゆえだと思いますが、P(プラン)に時間をかけその後プランを最後まで実行し、報告書にまとめ、またプランを作り実行するという、大きなトラックを回り続けることが必要なモデルとなってしまいました。ここが日本の競争力を低下させている可能性があるというのです。

OODA思考が支持される理由とは?

ここでOODAの内訳をみてみましょう。
OODAとは「Observe(観察)」「Orient(方向づけ)」「Decide(決定)」「Action(実行)」です。プランを作るということは重要視されていません。マーケティング的に考えてみれば、「Observe市場や顧客を観察して特徴や課題・仮説を洗い出す」「Orient各種データをもとに方向性を決める」「Decideアウトプット案を絞り出し何をやるか決める」「Actionまずやってみる」というところです。
PDCAのPの中にOODAのすべてが含まれており、プランを作るのを考えるくらいならやりながら変えていくといったところでしょう。ベンチャー集積地のシリコンバレーやイスラエル、ロンドンで一般的な企業手法であるリーンスタートアップ、システム開発の手段であるアジャイル開発などはOODAの考え通りに、まずやってみて途中で軌道修正やリソースの追加をしていくやり方をとっていますね。時間との勝負の世界ではOODA思考が重要視される理由もわかりますね。

OODA思考とPDCA思考の使い分け方

使い分けるといっても、思考をその都度切り替えるのは大変です。ここではどういった業種のどういった部門がどちらの考え方に頼るべきかを解説したいと思います。
まずはPDCAですが、前述の通りPDCAは大量生産型の製品を高品質に作るためにとても優れた思考法でした。その結果が世界第二位の経済大国日本です。やはり製造業の製造現場は今まで通りPDCAの思考法で良いかと思います。
ではOODAはどうでしょうか?このOODAの思考法をする集団がシリコンバレーなどから現れた理由は世の中の変化が背景にあると考えられます。インターネットという仮想空間ができたことで情報量は爆発的に増え、企業のとる戦略や戦術も昭和の時代から指数関数的に増えているとされています。つまり、P(プラン)に時間を使っていると、新興企業や競合に負けてしまうということです。ですので、企業のかじ取りをする、経営幹部、経営企画、マーケティング、広報、営業等知的生産性を求められる職種の方はOODA思考に移行する必要があるということです。
まとめると、製造業の製造現場以外は基本的にOODAの思考法にしないとスピード感に欠け、チャンスを逃すという結果を引き起こすことに繋がります。

静岡を見渡しても、意思決定がボトムアップ型である企業は本当に少ないので中々企業そのものを変えるのは時間がかかると思いますが、まずは一個人が「情報収集能力」「発想力」を養って、まずやってみる「実行力」を作るところから始めてみてもいいかもしれません。