kintoneでの在庫管理システムの作り方・事例
業務改善

【事例3選】kintoneで在庫管理システムの作り方・注意事項

投稿日:2022年3月9日

商品としてモノを扱う事業者にとって、できるだけ欠品を無くすことは大切ですが、過剰な在庫を抱えてしまうのも問題です。ビジネスの成功には、適正な在庫数の維持が非常に重要であり、在庫管理の仕組みは欠かせません。

しかし、在庫の管理方法や処理方法は事業の種類によってさまざまです。必要なニーズを満たしたシステムやソフトに出会えず、表計算ソフトや手書きで処理しているところも多いのではないでしょうか。

さまざまな業種に柔軟に対応できるkintoneなら、効率的な在庫管理が実現できます。今回は在庫管理にkintoneを使うメリットや、kintoneを使った在庫管理の方法・ポイントについて詳しく解説します。

kintoneを使って在庫管理をするメリット

kintoneを使って在庫管理をするメリット
kintoneは、クラウドプラットフォームと呼ばれる業務アプリを構築できるサービスで、自社の業務や管理方法に合わせた在庫管理が可能です。ここでは、kintoneを使って在庫管理をするメリットを紹介します。

在庫状況をリアルタイムに共有できる

kintoneはマルチデバイスに対応しているため、アプリさえ構築すればスマホやタブレットでいつでもリアルタイムで在庫状況を共有できます。在庫状況をリアルタイムで共有するために必要なアプリは以下の3つです。

  1. 「在庫管理」アプリ:商品ごとの在庫数を管理
  2. 「発注管理(入庫)」アプリ:商品を発注した時にデータを追加
  3. 「受注管理(出庫)」アプリ:顧客から注文を受けた時に、データを追加

通知により発注漏れを防ぐ

在庫管理アプリにある「リマインダーの条件通知」を設定すれば、実際の在庫数が適正数を下回った際に通知が届くように設定できます。発注すべき商品にいち早く気付くことができます。早期に商品を注文できるので欠品が減り、機会損失の防止につながります。

人的ミスを防ぐ

表計算ソフトや帳簿などのアナログな在庫管理方法は、時間や手間がかかるだけでなく、人的なミスも発生しやすい点がデメリットです。

kintoneの在庫管理アプリを使えば、在庫データはシステム内に登録されるため、手作業での入力は不要になります。時間や手間を削減できるだけでなく、人的ミスの発生も防止できます。

kintoneの在庫管理システム導入前に押さえておきたい3つのポイント

kintoneの在庫管理システム導入前に押さえておきたい3つのポイント
kintoneの在庫管理システムの導入に際しては、「現状の課題点を明確にする」「必要な機能を洗い出す」「導入に向けて準備を整える」という3つのポイントを押さえておくことが重要です。以下では、この3つのポイントについて詳しく解説します。

現状の課題を見直し目的を明確にする

在庫管理システムの導入にあたっては、自社の在庫管理のどこに問題があるのか、現状の課題を見直す必要があります。まずは、システムの導入でどのような課題を解決したいのか、目的を明確にしましょう。

課題と目的が曖昧だと、システムを十分に活かしきれないばかりか、別の問題が起こるおそれもあるため注意が必要です。

必要な機能を洗い出す

課題と目的を明確にしたら、その解決のために必要な在庫管理システムの機能を洗い出します。標準的な機能だけで事足りる場合は、すでに存在するkintoneのプラグインなどを導入すれば解決するはずです。

一方、業務フローが複雑で、独自のシステムを構築する必要がある場合には、開発会社などに依頼する必要があります。その点も踏まえ費用対効果が合うのか検討しましょう。

導入に向けての整備を整える

在庫管理システムは、現場のスタッフも含めて社内全体で共有するツールです。スムーズに導入するために、社内の導入体制を整えておきましょう。

初期設定やマスタ登録といったkintoneの導入準備だけでなく、社内での運用ルールの策定や、扱うスタッフの指導・トレーニングも必要です。これらに加えて、業務の中断や休止によるロスをできる限り抑える体制づくりもしておかなければなりません。

kintoneでの在庫管理システムの作り方

kintoneでの在庫管理システムの作り方
kintoneには、さまざまな業務に合わせて使えるサンプルアプリがあります。サンプルアプリとは、いわゆるアプリのひな型のことです。サンプルアプリを使った在庫管理システムの作り方をご紹介します。

必要なサンプルアプリを登録

まずkintoneに必要なサンプルアプリを登録します。在庫管理システムの構築に必要なのは以下の3つです。

  • 在庫管理アプリ
  • 発注管理アプリ
  • 受注管理アプリ
  • データコレクト プラグインを購入/実装

サンプルアプリはkintone内にあるアプリストア、もしくはサンプルアプリページから確認できます。登録の手順は以下の通りです。

  1. kintoneのトップページの「アプリ」項目の右横にある「+(追加ボタン)」をクリックし、アプリストアに移動します。
  2. アプリストア内の左パネルあるいは「おすすめのアプリ」から、必要なアプリを選びます。クリックをすると、詳細を確認できます。
  3. 詳細画面で「このアプリを追加」もしくは「このアプリパックを追加」をクリックしてください。サンプルデータが登録されているレコードもありますが、不要であれば「サンプルデータを含める」のチェックを外しましょう。
  4. 「このアプリを追加しますか?」という項目で「追加」をクリックすれば完了です。

リマインダーの条件通知を設定

kintoneでは、条件を指定してリマインドを通知できます。例えば実際に保有している在庫数が適正在庫数以下になった場合に通知することができます。設定は、在庫管理アプリの「リマインダーの条件通知」設定画面の「通知条件」欄を、左から「在庫過不足」「以下」に設定し、右の欄に下回った場合に通知をもらいたい在庫数を入力すればOKです。

在庫引当を管理する

次に在庫引当を管理するための設定をしていきます。用意するアプリは「発注管理アプリ」「受注管理アプリ」「在庫管理アプリ」の3つです。

有効在庫数と実在庫数を出す計算式を設定する

実在庫数は実際に手元にある在庫数、有効在庫数は実在庫数から既に受注を受けている数量を引いた数のことです。

「在庫管理アプリ」のフィールド一覧にある「実在庫数(実在庫数)(数値)」または「有効在庫数(有効在庫数)(数値)」にそれぞれフィールド式を入力することで、データコレクトで変動を集計できます。フィールド式は以下の通りです。

・有効在庫数
=SUMIFS(発注管理アプリ!個数,発注管理アプリ!商品名,商品名)-SUMIFS(受注管理アプリ!個数,受注管理アプリ!商品名,商品名)

・実在庫数
=SUMIFS(発注管理アプリ!個数,発注管理アプリ!商品名,商品名,発注管理アプリ!入庫状況,”入庫済”)-SUMIFS(受注管理アプリ!個数,受注管理アプリ!商品名、商品名,受注管理アプリ!納品ステータス,”納品済”)

受注後に有効在庫数のみを減らす

上記で入力したフィールド式は、「受注アプリ」から商品を受注・ステータス「納品未完了」の場合、「在庫管理アプリ」の有効在庫数だけが減るよう設定されています。

「受注アプリ」で商品を受注した際に、「在庫管理アプリ」にある「DataCollectする」をクリックすると、その時点で有効在庫数は受注した分だけ減少し、実在庫数の数量は変動しません。

納品後に実在庫数を自動的に減らす設定をする

kintoneのWebhookを利用すれば、受注アプリのステータスが「納品済」に変更したタイミングで、「在庫管理アプリ」から、自動的に実在庫数を減らす設定が可能です。
この設定には、まずデータコレクト側から「在庫管理アプリ」の「自動更新(Webhook連携)」欄右上にある「+(追加ボタン)」をクリックします。

自動更新には、Webhookを発火させる必要があるため、「レコードの追加」「レコードの編集」をトリガーに、集計するよう設定します。

Webhookの更新は、1レコード単位のため、「更新対象のフィールド」「入力元データアプリのフィールド」双方の値が一致した際に更新が実行されます。

kintoneでの在庫管理に便利なプラグイン

kintoneでの在庫管理に便利なプラグイン
プラグインとは、アプリの機能を拡張するソフトウェアを指します。ここではkintoneの在庫管理に便利なプラグインについてご紹介します。

在庫管理プラグイン(TIS)

TISの在庫管理プラグインでは、商品/入出庫アプリを元に、在庫数を算出できます。ダウンロードは無料です。商品アプリ内に数値フィールドを設置すれば、発注点・適正在庫数割れのアラートを表示させることが可能です。

また、仕入れ単価となる数値・計算フィールドを設置すれば、在庫評価もできるようになります。

在庫10(ITFit)

ITFitの在庫10は、在庫の受払を中心とした在庫管理が可能なプラグインです。入出庫や在庫調整ができるほか、商品マスタ・取引先マスタ・倉庫マスタを実装しています。

あらかじめパッケージには業務ロジックが組み込まれているため、JavaScriptカスタマイズをする必要はありませんが、自分でフィールドを追加することも可能です。

在庫10は無料で利用できますが、より本格的に運用したい場合には、有料版の「在庫10+」があります。在庫10+は、在庫10の機能に加えて、既存アプリにプラグイン設置で入庫/出庫ができたり、サブテーブルの明細行に対応したりと、さらに便利な機能を兼ね備えています。必要に応じてカスタマイズも可能です。

kintoneを使った在庫管理の事例

kintoneを使った在庫管理の事例

kintoneを使うことで、在庫管理にどのような変化があったのか、気になる方も多いでしょう。実際にkintoneで在庫管理を行っている企業の事例をkintone公式サイトより3つご紹介します。

神戸製鋼所

神戸製鋼所は、溶接に関連したさまざまなサービスや製品を展開している企業で、なかでも茨城工場は、溶接材料生産工場の拠点です。

茨城工場では、創業以来、材料管理台帳などの在庫管理業務を紙台帳で管理していましたが、作成に時間がかかり、作業者の大きな負担になっていました。また、転記ミスや指示遅れなどの問題も顕在化していました。

業務の効率化に向けてさまざまな仕組みを検討した結果、社外からでも業務推進に支障が出ないようにできるkintoneの導入を決定。これまで紙台帳で行っていた作業をクラウド化し、材料に貼られたQRコードを読み取るだけでkintoneアプリに自動入力されるようになり、転記作業の負担軽減に成功しています。

KFカーバイドジャパン

KFカーバイドジャパンは、タングステンカーバイドの輸入や販売を行っている企業です。

創業以来、顧客管理や受発注、在庫管理などはエクセルで行っていましたが、事業拡大に伴う社員の増加により限界を迎えつつあったため、新たな仕組みの導入を決定。ドイツにある親会社は大手システムの導入を勧めてきましたが、コスト面などの問題もあり、kintoneを導入することにしました。

システム導入後は、従業員全員がkintoneへ情報を入力する形で運用しています。在庫管理だけでなく、受発注管理や顧客管理をはじめとする、業務の一連のプロセスがすべてkintone上で行われるようになりました。紙で届く情報をエクセルに転記するといった業務がなくなり、場所を選ばずどこでも仕事ができるようになったことで、業務効率は大きく向上しました。

日清食品グループ

日清食品グループは、カップラーメンや袋めんなどインスタント食品の製造・販売を中心に食品事業を展開している大手企業です。

日清食品グループでは、これまで捺印する必要があった決済や申請承認業務などを、kintoneでシステム化しました。これにより迅速な承認が可能になり、作業効率の大幅な向上につながっています。

また、工場内における業務報告書等の回覧や、開発部門がこれまでエクセルで行っていた商品開発のプロセス管理などもkintoneに集約し、業務のデジタル化を進めています。

システム導入は、現在グループの中核である日清食品を中心に進めていますが、今後は主要グループ企業5社への展開も含め、さらに拡大していく予定です。

kintoneでの在庫管理まとめ

kintoneでの在庫管理
商品を扱う事業者にとって、在庫管理は非常に重要ですが、紙台帳やエクセルによる管理ではリアルタイムでの在庫数把握などに課題も少なくありません。

kintoneなら、いつでもどこでも正確な在庫量を把握できます。自社の業務や管理方法に合わせ、アプリをカスタマイズして柔軟に対応できるのもkintoneの魅力です。

現在の在庫管理や備品管理方法に不満を感じている方は、kintoneの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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