DIARY

お知らせ

2021.3.4

最近よく思う。地方企業がDXの前にやること。

私なりの気付きですが、DX化はツールではなく「人・組織・意識の問題」であるということを認識しました。今までのコラムと矛盾しているところもありますが、最後のこのコラムで、企業が間違ったDX化を推進して失敗しないために、あえてすぐにDX化をしない方が良い企業の6つのポイントを書かせいただきます。できるならDX化はした方が効率性も生産性も上がりますが、多くの企業はDX化できる環境にないのが現実です。以下6つのポイントを確認していただき、DX化より前にやらなければいけないことに目を向けていただければと思います。

①「DXやっても儲からない」根性論リーダーの存在感
DXを進める時に社内の古い制度、仕事の進め方の中で成功を収めてきた人、認められてそれなりの役職の方は「DXやっても儲からない」ということを言って非協力的になりがちです。こういう方が権力を持っている場合は要注意です。短期で儲けることではなく継続的に儲け続けるための投資ですので、働く期限が短く今の地位を守りたい人からすると、DXはある意味敵対勢力になります。

② 「管理職・リーダーは偉い」「リーダーは給料が高い一般社員」
本来、役職はあくまでも役割であり、多くのメンバーのモチベートをして多くの利益を産む人が多くの所得を生んでいるだけで偉いわけではありません。役割によって権限は広くなりますが、役職があるから偉いと勘違いして、権利を乱用、ハラスメントをするリーダーがいると圧力によってDX化は失敗に終わります。この場合、リーダーが一般社員と同じ役割で競争しようとすることも多くの企業で散見されます。この場合、権限のあるリーダーが社員の時間を有効に使うことや生産性を上げることに否定的になります。なぜなら、同じ目線でメンバーと競争して、勝たなければならないからです。

③ 明確な方針が伝わっていない組織体
DX化した先には社員の時間を効率化して空き時間を作る未来が待っています。その時に社員に「空き時間に何をするのか?」ということを聞く場合がありますが、これはナンセンスで、会社が何をして欲しいかしっかりと会社の今後の方向とミッションを決めて何をするのか伝えることが必要です。

④ 挑戦したことのないメンバー
DX化の先には新たなミッションが課されること多いですが、社員が挑戦することに慣れていない場合、「こんなミッションできるはずない」と、社員自体が圧力団体になって空き時間を有効に使えないと言うことも発生します。この場合に発生するマネジメントコストは膨大です。こうならないように、小さな挑戦をして成功体験をしていくことも少しずつ実施して慣れないといけません。社員教育の問題という大きな壁にもぶつかりますので、根気と挑戦する文化形成が必要です。

⑤ 失敗を許さない文化
口では失敗しても良いと言っても、「失敗したら怒られるかもしれない」という心理的安全性のない環境だと社員は挑戦することができません。失敗は必ずするもので、失敗しても挑戦した人、挑戦を手伝った人を称賛する文化が必要です。これはある方の受け売りの言葉ですが、DXは試行錯誤の連続なので、小さな失敗も称賛させる社内文化が必要です。

⑥ 社員に期待しない/会社を信頼しない
DX化はデジタルを活用してある程度の自由度/裁量権を社員に任せることも繋がります。この時、会社が社員に期待をして時間の活用を委ねることができるか、そして社員は会社にいなくても、報告書を毎回書かなくても評価してもらえるかという、両者の信頼関係が重要となります。すべてを管理することから、管理しなくてもうまく回る組織へと変化しなければなりません。

今までの会社を支えてきた人に敬意、若手に未来の挑戦を
多くの会社がDX化を進める中で、デジタルやスマホやPCに慣れていない方の対応、中長期視点でなく単年でしか判断できないベテラン社員の壁にぶつかります。このベテラン社員は多くの場合、今までの企業を支えてきた社員です。また、単年の利益もとても大事なので、ベテラン社員のモチベーションも大事にしなければいけません。これを無視してDXをすることは会社自体に大きな亀裂が入ります。何より今までの会社を支えてくれた方がいるから今があるので、ここへの敬意を持って制度設計をしなければなりません。逆に、今まで会社を守ってきたことは若いメンバーの未来のための挑戦をつぶす理由になってはいけないということもポイントです。このバランスは、はっきりいってとても難しいです。0から会社を作る企業のDX化は進み、歴史のある企業が進まない理由はここにあると思います。これを考えると、評価方法や組織の形を変えて短期と長期で切り分けてモチベート、ミッション設定をしていくことも考えなければいけません。そこで重要なのが、個人・組織毎ミッションを与える評価制度であるとたどり着きました。社員と企業をつなげる要である「評価制度と組織」が柔軟に行われることが重要です。トムス、クラウドラボでもDX化のサポートに加えて中小企業様向けにその企業に最適な評価システムをカスタマイズできるサービスも用意しました。評価制度・組織論とDXは表裏一体ということです。

「今ツールを入れない方が良い」といえるDX推進企業が必要
世の中DXというキーワードがバズワードのように日々のメディアを飾っていますが、これはクラウドベンダーが作り上げた虚像で、多くの場合ツールを入れても解決されないことが多いということを理解しないといけません。現に前段で記載した6つのポイントが壁となってDX化されない企業がほとんどだと思います。弊社トムスもDX推進企業ですのでツール導入を勧めますが、これからは「ツールを導入しないほうが良い」と言える企業でありたいと思うことに至りました。「御社にはまだDX化はまだ早いです。」と言える『DX化否定代行』もしたいと思っています。ということでコラムを終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

(筆)中川豊章