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RPAの導入目的と必要性|工数削減以外に期待できる効果とは?

投稿日:2020年8月25日

業務効率化に大きな効果が期待できるRPA。現場の作業工数が削減できるのはもちろん、ほかにも副次的な価値が多く得られます。導入の目的について、主に経営視点で期待できるメリットや、導入時の注意点を紹介しましょう。

RPA導入の目的・効果

RPA導入の目的と言うと、第一に自動化による業務効率化が挙げられます。しかし、現場レベルの負担軽減だけでなく、コストや品質の部分でもさまざまなメリットが得られます。

作業工数と人件費の削減

RPAは、意思決定が不要かつパソコン上で完結できる処理であれば、ほとんどすべてに対応可能です。定型業務を一手に担うことができるため、作業時間やそれにともなう人件費を大幅に削減できるでしょう。

単純かつ工程が多いデータ入力作業などは、特にRPAが有効です。実際に工数削減に成功した事例や、自動化が可能な業務についてはこちらに詳しく紹介しています。

従業員の満足度向上

単純作業をRPAに任せることで、誰でもできる雑務を人の手で行う必要がなくなります。また、ロボットは深夜や早朝でも時間を問わず稼働できるので、突発的に作業が発生したときや、必ずそのタイミングで実施しなければならない作業が発生したときでも、残業や早朝出勤をする必要がありません。従業員のストレス軽減や、満足度向上にも役立つでしょう。

生産性の向上

RPAの作業速度は、人間の3倍と言われており、休息の必要もありません。24時間・365日処理を続けられるため、同じ営業日数で処理できるキャパシティは、単純計算で人間の9倍にもなります。メンテナンスやエラー処理の時間を考慮する必要があるとはいえ、生産性が大きく向上することは間違いないでしょう。

ミスの削減・作業クオリティの向上

RPAは決められたシナリオに沿って処理を進めるため、シナリオが間違っていない限りミスをすることはありません。大量のデータを扱ううちに疲れや不注意で間違った入力をしてしまうということもないので、ダブルチェックも必要ありません。

エラーが起きたり、意図しない動作をしてしまったりということは考えられますが、シナリオを修正すれば二度と同じミスを繰り返すことはありません。再現性が高いので、品質にムラが出ることがないのもメリットです。

人的リソースの有効活用

判断が必要ない単純作業をRPAに割り振ることで、人間の担当者は、より難易度や価値の高い作業に集中できます。たとえば営業職であれば、顧客情報の入力や照合の負担をRPAで軽減し、空いた時間を資料の作成や顧客とのコミュニケーションに充てるといったことも可能です。

管理しやすい労働力の確保

ロボットならではの利点に、マネジメントのしやすさがあります。休憩や休日が不要で、安定したクオリティの作業ができるというだけでなく、人間関係のトラブルや、モチベーションが低下するといった心配もありません。

たとえば人手が足りなくなったときは、同じロボットを導入・複製すればすぐにでも確実な戦力が手に入ります。保守管理をする人材は必要ですが、新しい従業員に一から業務を覚えてもらう教育コストと比べると、低コストで運用が可能と言えます。業務フローに変更があった場合もシナリオを更新するだけなので、大勢の作業者に通達するよりも、手間も確実性も高い手法です。

社員による情報流出リスクの軽減

人の手を介する場合、業務にかかわる機密や個人情報に作業者が直接ふれることになります。意図的でない場合も含め、人為的な流出のリスクはゼロではありません。また、社員に見せたくないデータを扱うため、管理職が雑務に入らざるを得ないこともあるでしょう。

RPAは、アクセス権限の指定が可能です。パソコンやサーバーそのもののセキュリティには厳重に注意する必要がありますが、人的な情報漏洩が起こるリスクを軽減できます。

社内の業務プロセスを可視化

RPAを導入するにはまず、現在の業務フローを明確に定義しなければなりません。その過程で、工程が属人化していたり、無駄な工程をふんでいたりといった改善点に気づくことも。

最終的にRPAの導入を見送ったとしても、ロボットにもわかる形のマニュアルを作っておくことは有意義です。思いがけない業務改善につながるかもしれません。

RPAの導入が進んでいる背景

RPAの市場が拡大している理由は、各企業が抱える課題がRPAで解決できることに加えて、さまざまな社会背景にもあります。

生産年齢人口の減少と人手不足

少子高齢化にともなう労働力の減少は、今後さらに深刻化していくと言われています。総務省統計局の「国勢調査」によると、生産年齢人口(1564歳)の割合は1992年をピークに低下し続けているとのこと。人間に代わる労働力として期待されているのが、ブルーカラー業務においては産業用ロボット、ホワイトカラー業務においてはRPAなのです。

<外部リンク|参考:第1章 人口減少社会(厚生労働省)>

働き方改革の推進

生産年齢人口の減少や、労働者のニーズの多様化を受けて、政府では2019年から「働き方改革」を推し進めています。働きやすい労働環境を整備することで、国内の雇用促進と経済の発展させるねらいです。

改革の一貫として、効率化による長時間労働の是正や、テレワーク、フレックスタイムの導入推奨など、幅広い取り組みが行われています。RPAは業務効率化を目指すためのツールとして注目されており、政府が主導するIT導入補助金の対象にもなっています。

業務や資料のデジタル化・IT

RPAが普及する以前から、資料をデータ化して保管したり、帳簿や契約書をデジタル化したりといった動きが進んでいたこともRPAの導入が促進された要因のひとつです。近年は低コストのITインフラや各種クラウドシステムも登場しており、社内の業務の多くがすでにデジタルデータでやりとりされている企業も多いでしょう。

RPAはパソコン上の処理を自動化するため、すでにデジタル化が進んでいる企業における導入のハードルは低いです。

RPAツールの技術向上

RPAが普及し始めたのは2017年頃からですが、そこから数年で、数多くの新製品やバージョンアップが発表されています。画像認識機能の追加や、検索条件の多様化、UIの改善など、より使いやすく対応領域の広いRPAツールが増えたことで、業種や企業の規模を問わずに導入しやすくなりました。

導入時に意識したいこと

RPAは、一から自社システムを構築するのに比べれば低コストですが、少なくはないランニングコストがかかります。業務の自動化・効率化が失敗に終わることがないよう、慎重に導入する必要があります。

PoCの実施

PoC(Proof of Concept)とは、これまでにない技術やツールを開発・運用する際に、効果を検証することを言います。「概念実証」とも呼ばれ、新しい概念を導入する際には重要な考え方です。

PoCを実施することで、「想定以上のコストがかかった」「エラーが頻発した」といった失敗を事前に予測し、実現可能性を確かめることができます。導入の具体的な手順についてはこちらをご参照ください。

RPAガバナンスの整備

RPAは、導入するだけで自動化が実現するわけではありません。ルールや仕組み作りが不十分だと、RPAロボットが量産されてかえって業務が煩雑になったり、RPAそのものが属人化したりする可能性があります。最大限の導入効果を得るために、適切な運用ルールを定めておかなければなりません。

RPAガバナンスとは、RPAツールの導入目的を明確化して共有し、運用ルールを設けることを指します。RPAのガイドラインを作成する、と言うとわかりやすいかもしれません。

RPA導入で売上と利益を最大化

RPAは、業務を最適化して最大限に生産性を高めるために有用なツールです。これにより、売上の最大化やさらなる事業の成長も目指せます。今後さらにRPAの活躍の幅が広がっていくと予想されているため、今から運用を検討する価値はあるでしょう。

無料の試用期間を設けているツールも多いので、気軽にテストが開始できるのもうれしいところ。導入に不安がある場合には、クラウドラボで支援を行うことも可能なので、ぜひご相談ください。