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COLUMお役立ちコラム

2026年7月8日

Salesforceからの乗り換えガイド|失敗しない代替CRMの選び方と移行の進め方

Salesforceのコストや運用負荷に課題を感じ、「そろそろ乗り換えを検討すべきかもしれない」と考えている方は少なくないでしょう。しかし、いざ乗り換えを考えると「データ移行は大丈夫か」「現場が新しいツールに馴染めるか」「乗り換えて後悔しないか」といった不安が出てきます。

CRMの乗り換えは、単なるツールの差し替えではなく、業務フローの見直しと再設計を伴うプロジェクトです。成功させるためには、乗り換え前の判断、ツール選定、移行実務のそれぞれで押さえるべきポイントがあります。

本記事では、Salesforceからの乗り換えを検討している中小企業に向けて、判断のフレームワークから代替CRMの比較、移行の具体的な進め方、よくある失敗と対策までを実務レベルで解説します。

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【この記事で分かること】

  • 乗り換えるべきか否かを判断するための「5つのチェック項目」
  • 代替CRMの選択肢と、自社に合ったツールの見極め方
  • 乗り換え前にやるべき「現状の棚卸し」の具体的な手順
  • 移行プロジェクトの全体像と進め方(6ステップ)
  • 乗り換えでよくある失敗パターンと、その対策

本当に乗り換えるべきか?——判断のための5つのチェック項目

乗り換えはコスト削減や運用改善につながる一方、移行そのものにもコストと労力がかかります。「乗り換えた方が良いのか、Salesforceを最適化した方が良いのか」を見極めるために、以下の5項目をチェックしてみてください。

チェック1:Salesforceの「使っている機能」を棚卸しする

日常的に使っている機能を書き出してみましょう。「顧客管理」「商談管理」「活動記録」「レポート」程度であれば、Salesforce独自の高度な機能(Apexカスタマイズ、AppExchangeの拡張アプリ、大規模向けのテリトリー管理など)にはほとんど触れていないことになります。基本CRM/SFA機能だけの利用であれば、同等の機能を持つ安価なCRMに乗り換えても業務に影響が出ない可能性が高いです。

チェック2:年間のトータルコストを正確に把握する

ライセンス費用だけでなく、AI機能のオプション、Success Plan、カスタマイズの外注費、追加ストレージなど、すべてを合算した「本当のコスト」を把握しましょう。Enterprise × 30人の場合、2026年4月時点の定価ベースでライセンス費用だけで年間約713万円ですが、オプションと外注費を含めると1,000万円を超えているケースは珍しくありません。なお、Salesforceは2023年以降に価格改定を実施しており、今後も改定の可能性があるため、最新の定価は公式サイトで確認してください。

コストの棚卸し方法については、Salesforceが高いと感じたら|CRMコスト削減の5つの方法の記事で詳しく解説しています。

チェック3:現場の定着率・活用度を数字で確認する

Salesforceにログインしているユーザーの割合、レコードの入力頻度、レポートの閲覧回数などを確認しましょう。「ライセンスは30人分あるが、週に1回以上ログインしているのは15人だけ」という状態であれば、高機能なCRMが宝の持ち腐れになっています。利用率が低いこと自体がコストの無駄であり、より使いやすいCRMに乗り換えることで定着率が改善する可能性があります。

チェック4:社内に運用を維持できる人材がいるか

Salesforceの運用を支える社内人材(Salesforce認定アドミニストレーター相当の知識を持つ人)がいるかどうかは、乗り換え判断の重要なポイントです。いない場合、設定変更のたびに外部パートナーへの依頼と費用が発生する構造から抜け出せません。一方、Zoho CRMのようにノーコードでカスタマイズできるツールであれば、社内での運用ハードルは大きく下がります。

チェック5:契約更新までのタイムラインを確認する

Salesforceは年間契約が基本であり、契約期間中の解約やダウングレードは原則できません。乗り換えを進める場合は、次の契約更新(アニバーサリー)のタイミングに合わせてプロジェクトを計画する必要があります。更新日の3〜5ヶ月前に検討を開始するのが理想的なスケジュールです。

特に注意すべきは、解約通知の期限です。多くのSalesforce契約では、契約更新の30日前または60日前までに解約の意思を通知しないと自動更新される条項が含まれています。この期限を1日でも過ぎると、もう1年間の契約が確定してしまいます。契約書を確認し、解約通知の期限をカレンダーに登録しておくことを強くおすすめします。

判断チェックリスト

チェック項目該当する?
使っている機能の8割以上が基本CRM/SFA機能のみ
オプション込みの年間コストが想定以上に膨らんでいる
Salesforceのログイン率・入力率が50%以下
社内にSalesforce管理者がおらず、外注依存が続いている
契約更新が半年以内に迫っている

3つ以上に該当する場合は、乗り換えを具体的に検討する価値があります。2つ以下の場合は、まずSalesforce環境の最適化(ライセンス見直し・未活用オプションの解約など)から始めるのがおすすめです。

代替CRMの選択肢を整理する

乗り換え先としてのZoho CRM——なぜ第一候補なのか

Salesforceからの乗り換え先として、トムスがまず検討をおすすめするのがZoho CRMです。その理由は4つあります。

  • データ構造が似ている:Salesforceのオブジェクト(取引先、取引先責任者、商談、リードなど)に対応するタブがZoho CRMにも用意されており、データ移行の設計がしやすいです。Zoho公式にもSalesforceからの移行ガイドと専用の移行機能が存在します。
  • ランニングコストの大幅削減:Enterprise同士の比較で月額15,000円/人の差。30人で3年間利用するとライセンス費用だけで約1,620万円のコスト差が生まれます。
  • AI機能が標準搭載:ZohoのAI「Zia」はエンタープライズプラン以上に標準搭載されており、売上予測や異常値検出、最適連絡時間の提案などを追加のオプション契約なしで利用できます。ただし、一部の生成AI機能(文章生成など)についてはクレジット制の利用上限が設けられている場合があるため、最新の提供範囲はZoho公式サイトで確認してください。
  • 月間契約でリスクを抑えられる:Salesforceの年間契約と異なり、Zoho CRMは月間契約にも対応しています。乗り換え後に「やっぱり合わなかった」場合のリスクを最小限に抑えられます。

SalesforceとZoho CRMの機能・料金の詳しい比較については、SalesforceとZoho CRMを徹底比較した記事をご参照ください。

Zohoへの乗り換えが向かないケース:SalesforceをData Cloud(旧CDP)と連携させて全社的なデータ統合基盤として活用している場合や、Agentforce(自律型AIエージェント)を業務プロセスに深く組み込んでいる場合は、Zohoへの移行によってデータの分断やAI機能の質的な低下が生じるリスクがあります。こうしたケースでは、乗り換えよりもSalesforce環境の最適化を優先することをおすすめします。

その他の主要な代替候補

ツール名月額の目安強み注意点
HubSpot CRM無料〜1,800円/人〜無料プランあり。インバウンドマーケティングに強い高度なSFA機能は上位プランが必要で、コストが跳ね上がる場合あり
kintone1,650円/人〜業務アプリをノーコードで自由に構築できる柔軟性CRM専用ツールではないため、ゼロからの設計が必要。フォームブリッジ等の連携サービスを組み合わせるとCRM的な環境を構築できるが、拡張コストを含むとZoho CRMと同等以上になる場合もある
GENIEE SFA/CRM3,480円/人〜国産。定着率99%を謳うシンプルなUI大規模な拡張やグローバル対応は限定的
Microsoft Dynamics 3659,745円/人〜Microsoft 365との連携がシームレスSalesforce同様に高機能・高コスト。中小企業にはオーバースペックの場合も

※各ツールの価格は2026年4月時点の情報に基づく目安です。為替変動やプラン改定により変更される場合があります。

※HubSpotは基本プラットフォーム料金が別途かかる場合があります。

乗り換え先を選ぶときに必ず確認すべき4つの観点

  • 機能のカバー率:Salesforceで「実際に使っている機能」を乗り換え先でもカバーできるか。「Salesforceの全機能」ではなく「自社が使っている機能」で比較するのがポイントです。
  • AppExchange連携アプリの代替可否:帳票作成ツール、名刺管理ツール、請求書連携などSalesforce上で利用しているAppExchangeアプリがある場合、乗り換え先で代替できるかを事前に確認しましょう。確認すべきは単に「同じ機能があるか」だけではありません。Salesforceではネイティブ(リアルタイム)で動いていた連携が、他ツールではAPI経由(数分〜数十分のタイムラグ)になる場合があり、この遅延が業務フローに影響するリスクもあります。
  • データ移行の対応実績:特に活動履歴(メール送受信・ToDo・行動)の紐付け移行は技術的に高難度です。乗り換え先のCRM自体のデータ移行機能に加え、導入支援パートナーにSalesforceからの移行実績があるかを確認しましょう。
  • 導入支援パートナーの実績と体制:CRMの乗り換えは自社だけで完結させるのが難しいプロジェクトです。棚卸しからデータ移行、定着支援まで一貫してサポートできるパートナーを選ぶことが、成功率を大きく左右します。

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乗り換え前にやるべき「現状の棚卸し」

乗り換えの成否を分けるのは、ツール選定よりも「その前の準備」です。Salesforceの現状を正確に把握し、何を移行し、何を整理するかを決めるステップが最も重要です。

ステップ1:利用中の機能・設定を一覧化する

棚卸し対象確認ポイント
標準オブジェクト取引先・取引先責任者・商談・リード・活動等、どれを使っているか
カスタムオブジェクト自社独自に作成したオブジェクトの数と用途
カスタム項目各オブジェクトに追加した独自の入力項目の数と種類
ワークフロー・自動化フロー、プロセスビルダー、ワークフロールールの内容
承認プロセス見積承認や値引き申請など、承認フローの有無
Apex / Visualforceコードで構築されたカスタム機能の有無(再開発が必要)
AppExchangeアプリ利用中の外部連携アプリ名と用途
レポート・ダッシュボードよく使うレポートの種類と数

ステップ2:データの棚卸し

  • レコード数:オブジェクトごとのレコード数を把握。大量のデータがある場合、移行に時間がかかり費用にも影響します。
  • 活動履歴の紐付け:メール送受信履歴やToDoが、どのレコードに紐付いているかが重要です。この紐付けの移行は技術的に高難度であり、CSV出力だけでは対応できない場合があります。さらに、Salesforce側のAPI制限(APIリクエスト数の上限)により、大量の活動データがある環境ではエクスポート自体に数日〜数週間を要するケースもあります。移行パートナーと事前にデータ量とAPI制限の影響を確認しておきましょう。
  • データ品質:重複データや古いレコードが大量にある場合は、移行前にクレンジングを行い、新CRMをクリーンな状態でスタートしましょう。

ステップ3:フィット&ギャップ分析

棚卸しした機能・データを乗り換え先のCRMに照合し、「フィット(そのまま移行できる)」と「ギャップ(再設計が必要)」に分類します。ギャップが発生しやすいのは、Apex開発で構築したカスタム機能、複雑な承認フロー、AppExchange固有のアプリ連携などです。

ギャップがゼロである必要はありませんが、ギャップの内容と対応方針(再設計するか、運用で代替するか、移行しないか)を事前に決めておくことで、移行後のトラブルを防げます。

移行プロジェクトの進め方——6つのステップ

棚卸しとツール選定が完了したら、いよいよ移行プロジェクトに入ります。全体期間の目安は3〜5ヶ月です(データ量やカスタマイズの複雑さにより変動します)。

ステップ内容期間の目安
1. 目的と投資上限の明確化「なぜ乗り換えるのか」を言語化。コスト削減の目標額と移行予算の上限を設定〜2週間
2. ツール選定とトライアル無料トライアルで現場メンバーに触ってもらい、主要業務フローを再現できるか検証2〜4週間
3. 移行設計データマッピング(項目対応表の作成)と業務フローの再設計。最も工数がかかるフェーズ2〜4週間
4. テスト移行と検証少量のデータで試験的に移行。整合性・活動履歴の紐付け・レポートの再現性を確認2〜3週間
5. 本番移行と並行稼働全データを移行。一定期間は新旧システムを並行稼働し、問題がないか確認2〜4週間
6. 定着支援操作研修・FAQ整備・利用状況モニタリング。新CRMを「使われるツール」にする移行後1〜3ヶ月

ステップ3(移行設計)が成否を分ける

移行プロジェクトで最も重要かつ工数がかかるのが、データマッピングと業務フローの再設計です。Salesforceの「オブジェクト」と乗り換え先の「タブ」や「モジュール」は名称や構造が異なる場合があるため、1対1の対応表を作成する必要があります。

Zoho CRMの場合はSalesforceとデータ構造が類似しているため、マッピングは比較的スムーズですが、カスタムオブジェクトやカスタム項目が多い環境では設計に時間を要します。この段階で手を抜くと、移行後に「データがあるべき場所にない」というトラブルにつながります。

ステップ4(テスト移行)は省略しない

テスト移行は「できればやった方がいい」ではなく「必ずやるべき」ステップです。少量のデータで試験的に移行を実施し、データの整合性、活動履歴の紐付け、レポートの再現性を確認します。テスト移行を省略して本番移行に入ると、問題の発覚が遅れ、修正コストが膨らむリスクがあります。

ステップ5(本番移行)では「段階的移行」も選択肢に

全社一斉に切り替える「ビッグバン方式」だけでなく、まず1つの部署やチームだけを先行して新CRMに移行し、問題がないことを確認してから他の部門に展開する「段階的移行(フェーズドアプローチ)」も有力な選択肢です。段階的移行であれば、万が一問題が発生した場合の影響範囲を限定でき、先行部門の経験を後続の部門の移行に活かすことができます。「乗り換えて失敗したらどうしよう」という不安を軽減する現実的なアプローチです。

ステップ6(定着支援)を計画に入れておく

移行が完了した時点はゴールではなく、スタートです。新しいCRMを現場に定着させるために、移行後1〜3ヶ月の定着支援期間を計画に組み込んでおきましょう。操作研修の実施、FAQ・マニュアルの整備、キーパーソン(各部門の推進担当者)の先行トレーニング、利用状況のモニタリングと改善サイクルの構築が大切です。

乗り換えでよくある失敗パターンと対策

Salesforceからの乗り換えで実際に起きやすい失敗パターンと、その対策を整理しました。

失敗パターン原因対策
移行後にデータの不整合が発覚データマッピングの設計不足。テスト移行を省略したフィット&ギャップ分析を徹底し、テスト移行は必ず実施する
活動履歴が正しく移行できなかった紐付け移行が技術的に高難度。SalesforceのAPI制限により大量データのエクスポートに時間がかかるケースも活動履歴の移行実績がある専門パートナーや移行ツールを活用。データ量とAPI制限の影響を事前に見積もる
AppExchangeアプリの代替が見つからない帳票・名刺管理等の連携アプリを棚卸しせずに乗り換えた事前にAppExchangeアプリの一覧を作成し、代替手段を確認する
現場が新CRMに馴染めず利用率が低下研修が不十分。操作の違いに戸惑った移行後1〜3ヶ月の定着支援期間を設ける。キーパーソンを先行トレーニング
移行コストが当初見積もりを大幅超過データ量やカスタマイズの複雑さの見積もりが甘かった棚卸し段階で正確なデータ量を把握し、パートナーと詳細な見積もりを行う

これらの失敗パターンの大半は「事前準備の不足」が原因です。棚卸し・フィット&ギャップ分析・テスト移行の3つを丁寧に行うことが、乗り換え成功の最大のカギです。

まとめ——乗り換えは「ゴール」ではなく「手段」

CRMの乗り換えは、「安いツールに変えること」が目的ではありません。「自社に必要な機能を、適正なコストで、現場が実際に使える形で提供すること」が本質です。

乗り換えを成功させるカギは、事前の棚卸し、フィット&ギャップ分析、テスト移行の3つです。ここを省略すると、移行後のトラブルと追加費用につながります。逆に言えば、この3つを丁寧に行えば、乗り換えプロジェクトは十分にコントロール可能です。

トムスでは、Zoho認定パートナーとしてSalesforceからZohoへの乗り換え支援を行っています。現状の棚卸しからフィット&ギャップ分析、データ移行、移行後の定着支援まで一貫してサポートいたします。デジタル化・AI導入補助金の活用により、移行コストを大幅に抑えることも可能です。

「まだ乗り換えるか決めていないが、まず現状を整理したい」という段階からご相談いただけます。お気軽にお問い合わせください。

>>トムスにSalesforceからの乗り換えを相談する

監修者

中川 豊章

株式会社トムス 代表取締役