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COLUMお役立ちコラム

2025年8月7日

【2025年】DX化に活用できる助成金・補助金制度と活用の注意点

近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)への関心が高まっています。業務効率の向上や競争力の強化などを目的に、自社でも推進したいと考える企業も増えてきました。

その一方で、「技術導入費」や「外部コンサルティング費」など、多額の初期費用が大きなハードルとなり、なかなか着手できないのが現状ではないでしょうか。実際に中堅・中小企業においては、「DXに関わる人材の不足」や「予算確保の難しさ」が課題として挙げられています(※)。

こうした背景を受け、国や自治体では企業のDX化を後押しするために、さまざまな助成金・補助金制度を設けています。これらの制度をうまく活用することで、コスト負担を抑えながらDXの第一歩を踏み出すことが可能です。

この記事では、DXを推進したいと考える企業に向けて、2025年に活用できる主要な助成金・補助金制度の詳細と、申請時の注意点について詳しく解説します。

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DX支援ガイダンス 概要版|経済産業省 商務情報政策局 情報技術利用促進課

DX化に活用できる助成金・補助金制度

DX化に活用できる主な助成金・補助金制度は、以下の通りです。

  1. IT導入補助金
  2. ものづくり補助金
  3. 中小企業新事業進出補助金
  4. 小規模事業者持続化補助金<一般型>
  5. キャリアアップ助成金
  6. 自治体による助成金・補助金制度

なお、補助金と助成金には以下のような違いがあります。

  • 助成金
    ・条件をクリアすれば100%受給できる
    ・募集期間が長い、通年申請できるものもある
  • 補助金
    ・予算上限が設定されているため、申請しても100%受給できるわけではない
    ・条件が厳しい
    ・募集期間が短い

申請のしやすさや支給額の高さ、併用の可否など複数の観点から、どの制度を利用するかを検討しましょう。ここでは、上記の制度について詳しく紹介します。

【1】IT導入補助金

本事業は、中小企業・小規模事業者等を対象に、ITツールの導入を支援する制度です。

導入するソフトウェアやシステムに応じて、5つの申請枠に分かれています。

引用:IT導入補助金制度概要

 

対象事業小規模事業者、中小企業
受給額・対象経費通常枠

引用:https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2025_koubo_tsujyo.pdf

インボイス枠
(インボイス対応類型)

引用:https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2025_koubo_invoice.pdf

インボイス枠
(電子取引類型)

引用:https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2025_koubo_denshi.pdf

セキュリティ対策推進枠

引用:https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2025_koubo_security.pdf

複数社連携IT導入枠

引用:https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2025_koubo_fukusu.pdf

主な受給条件

※その他、各申請枠による

申請期日
(制度利用の申込)
すべての申請枠における受付開始日:2025年3月31日

(締切日)

  • 通常枠/インボイス枠(インボイス対応類型)/インボイス枠(電子取引類型)/セキュリティ対策推進枠:

[1次]2025年5月12日17:00
[2次]2025年6月16日17:00
[3次]2025年7月18日17:00

  • 複数社連携IT導入枠:

[1次のみ]2025年6月16日17:00

対象期間
(DX化の取り組み)※予定
  • 通常枠/インボイス枠(インボイス対応類型)/インボイス枠(電子取引類型)/セキュリティ対策推進枠:

[1次]交付決定~2025年12月26日17:00
[2次]交付決定~2026年1月30日17:00
[3次]交付決定~2026年2月27日17:00

  • 複数社連携IT導入枠:

[1次のみ]2026年1月30日17:00

受給までの流れ
  1. GビズIDの取得と、SECURITY ACTIONの宣言を実施
  2. IT事業者・ITツールの選定を行う
  3. 交付申請
  4. 交付決定の通知後、ITツールの発注・契約・支払いを行う
  5. 事業実績を報告
  6. 申請ページから補助金額を確認し、内容に相違が無ければ承認を行う
  7. 事業の実施効果を報告

出典:https://it-shien.smrj.go.jp/

【2】ものづくり補助金

本事業は、中小企業・小規模事業者等を対象としています。革新的な新製品・新サービスの開発や、海外展開に向けた取り組みに必要となる設備投資等に対して、補助が行われる仕組みです。

令和2年3月10日に初回の公募が開始されて以来、通年で継続的に公募が実施されています。そのため、仮に締切を過ぎてしまったとしても、次回の公募までの間隔が比較的短く、継続的に申請のチャンスがあるのが特徴です。

 

対象事業以下[1]~[4]のいずれかに該当する者

  1. 中小企業者
  2. 小規模企業者・小規模事業者
  3. 特定事業者の一部
  4. 特定非営利活動法人
受給額製品・サービス高付加価値化枠
  • 中小企業:2分の1
  • 小規模企業・小規模事業者および再生事業者:3分の2

(上限:従業員数)

  • 5人以下:750 万円
  • 6~20人:1,000 万円
  • 21~50 人:1,500 万円
  • 51人以上:2,500万円
グローバル枠
  • 中小企業:2分の1
  • 小規模企業・小規模事業者および再生事業者:3分の2

(上限3,000 万円)

対象経費[製品・サービス高付加価値化枠]
機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費

[グローバル枠]
機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費(グローバル枠のうち、海外市場開拓(輸出)に関する事業のみ)海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費

主な受給条件
  • GビズIDプライムを取得すること
  • 申請締切日を起点にして、過去3年間で2回、本補助金の交付決定を受けていないこと
  • 同一または類似した事業において、ほかの補助を受けていないこと
  • 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、事業者全体の付加価値額の年平均成長率を3.0%以上増加させること
  • 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、給与支給総額の年平均成長率を 2.0%以上増加させること
  • 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、事業所内の最低賃金を事業実施都道府県における最低賃金より30 円以上高い水準にすること(毎年)
  • (従業員数 21 名以上の場合)次世代育成支援対策推進法 第12条に規定する一般事業主行動計画の策定・公表を行うこと

※グローバル枠は追加要件あり

申請期日
(制度利用の申込)
2025年7月1日17:00~7月25日17:00
対象期間
(DX化の取り組み)
[製品・サービス高付加価値化枠]
交付決定から10ヵ月(ただし、採択発表日から12ヵ月後の日まで)[グローバル枠]
交付決定から12ヵ月(ただし、採択発表日から14ヵ月後の日まで)
受給までの流れ
  1. 事前準備
  2. 応募申請
  3. 審査・交付候補者の採択~通知
  4. 交付申請
  5. 交付決定
  6. 補助事業の実施
  7. 実績報告・検査
  8. 補助金額の確定
  9. 補助金の請求・支払い
  10. 事業化状況の報告

出典:https://portal.monodukuri-hojo.jp/

 

【3】中小企業新事業進出補助金

本事業は、中小企業等を対象に、既存事業と異なる事業の展開を後押しすることを目的とした制度です。

そのため、既存事業のDX化は補助対象とならず、新規事業のDX化が対象となります。

対象事業以下[1]~[4]のいずれかに該当する者

  1. 中小企業者
  2. 「中小企業者等」に含まれる「中小企業者」以外の法人
  3. 特定事業者の一部
  4. 対象リース会社
受給額2分の1

(上限)

  • 従業員数20人以下:2,500万円〈3,000万円〉
  • 従業員数21~50人:4,000万円〈5,000万円〉
  • 従業員数51~100人:5,500万円〈7,000万円〉
  • 従業員数101人以上:7,000万円〈9,000万円〉

※〈〉は大幅賃上げ特例適用事業

対象経費機械装置・システム構築費(専用ソフトウェア・情報システム等の購入、構築、借用など)、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、広告宣伝・販売促進費
主な受給条件

以下[1]~[5]を3~5年の事業計画に取り組むこと

  1. 「新事業進出指針」にて定められている定義に該当する事業であること
  2. 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、付加価値額(または従業員一人当たり付加価値額)の年平均成長率が4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
  3. 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、規定水準以上の賃上げを行うこと
  4. 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、事業所内最低賃金が補助事業実施場所都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であること(毎年)
  5. 「次世代育成支援対策推進法」に基づく一般事業主行動計画を公表していること
申請期日
(制度利用の申込)
2025年6月頃(予定)~7月10日18:00
対象期間
(DX化の取り組み)
交付決定日から14ヵ月以内(ただし採択発表日から16ヵ月以内)
受給までの流れ
  1. 事前準備(事業計画作成・GビズIDプライムの取得)
  2. 応募申請
  3. 審査・交付候補者の採択~通知
  4. 交付申請
  5. 交付決定
  6. 補助事業実施
  7. 実績報告
  8. 確定検査(交付額の確定)
  9. 補助金の請求
  10. 補助金の支払い
  11. 事業化状況報告

出典:https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/

 

【4】小規模事業者持続化補助金<一般型>

本事業は、働き方改革やインボイス制度などの社会的な制度変更に対応しつつ、生産性向上と持続的な発展を目指す小規模事業者を支援する制度です。

第18回の応募は、申請受付開始が2025年10月3日からになります。申請の受付締め切りは2025年11月28日です。ただし、予定が変更される可能性もあります。

対象事業日本国内に所在する小規模事業者等
受給額3分の2(上限50万円)
対象経費機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費
主な受給条件
  • GビズIDプライムを取得すること
  • 販路開拓等のための取組、あるいはそれに伴う業務効率化(生産性向上)のための取組であること
  • 商工会・商工会議所の支援(助言等)を受けながら取り組む事業であること
  • 同一または類似した事業において、国が助成する補助を受けていないこと
申請期日
(制度利用の申込)
2025年10月8日~11月28日17:00
対象期間
(DX化の取り組み)
交付決定日~2027年2月26日
受給までの流れ
  1. 事前準備(事業計画作成・GビズIDプライムの取得)
  2. 商工会・商工会議所へ事業支援計画を発行依頼
  3. 応募申請
  4. 採択~通知
  5. 見積書等を提出
  6. 交付決定
  7. 実績報告書を提出
  8. 補助金額が確定
  9. 補助金の請求
  10. 補助金の交付
  11. 事業効果報告書の提出

出典:https://r6.jizokukahojokin.info/index.php

 

【5】キャリアアップ助成金

本事業は、非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善の取り組みを行う事業主を対象に支援する制度です。

DX化に伴う人材確保(正社員化)や、DX人材の処遇改善のために活用できます。

対象事業以下すべてに該当する事業主

  • 雇用保険適用事業所の事業主
  • キャリアアップ管理者を雇用保険適用事業所ごとに配置している事業主
  • 雇用保険適用事業所ごとにキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長に提出した事業主
  • 本事業でキャリアップさせる労働者の労働条件等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明確に提示できる事業主
  • キャリアアップ計画期間内に計画に取り組んだ事業主

※各コースごとに定められた要件あり

受給額※複数のコースがありますが、ここでは正社員化に取り組む場合に絞ってご紹介します(正社員化コース)。

引用:https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001512871.pdf

対象経費※「正社員化コース」の対象となる労働者

有期雇用労働者または無期雇用労働者など、9つの条件すべてに該当する者

申請期日
(制度利用の申込)
※「正社員化コース」の対象となる労働者

正社員化した労働者に対し、正規雇用労働者としての賃金を6ヵ月支給した日の翌日から起算して2ヵ月以内

(さらに6ヵ月すなわち12ヵ月雇用した場合の第2期申請あり)

対象期間
(取り組み)
※「正社員化コース」における正規雇用労働者としての期間

6ヵ月以上の非正規雇用 → 6ヵ月の正規雇用(+6ヵ月の正規雇用で第2期申請の対象)

受給までの流れ
  1. キャリアップ計画の作成・提出
  2. 取り組みの実施
  3. 支給申請
  4. 審査・支給決定

引用:https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001512871.pdf

 

【6】自治体による助成金・補助金制度

国が行う助成金・補助金制度以外に、自治体が独自で行っている制度もあります。地域の産業振興や企業支援を目的として、各自治体が独自の基準で制度を設ける仕組みです。

ここでは参考として、静岡市内の事業者を対象とした制度を2つ紹介します。

 

中小企業DX人材等育成支援事業補助金

本事業は、DX化にあたって必要となる人材育成のための費用に対して、支援を受けられます。

対象事業以下いずれかに該当する者

  1. 静岡市内に本社または工場を保有している中小企業者
  2. 市内に主たる事業所を保有する企業組合
  3. 構成員の3分の2以上が前号に規定する団体
受給額
  • DX・デジタル人材育成事業:

3分の2(上限10万円)

  • 技能・生産性向上人材育成事業:

2分の1(上限5万円)

  • 2つの事業を同時申請する場合:

上限10万円

対象経費
  • 研修の受講料
  • 研修の主催者に指示を受けて購入した書籍代と教材費

※資格取得を目的とした研修、受講者本人が負担する研修、すでに補助金を受けている研修の経費は対象外

主な受給条件
  • 本事業に着手する前に申請を行うこと
  • 補助事業の収支に関する帳簿と領収書等関係書類を補助金の交付を受けた年度終了後5年間は保管すること
  • 事業完了後または補助金の交付決定に係る会計年度の終了時には、必要書類を揃えて実績報告を行うこと
申請期日
(制度利用の申込)
要問合せ(令和7年7月17日現在は交付申請を受付中)
対象期間
(DX化の取り組み)
要問合せ
受給までの流れ必要書類を揃え、電子申請にて提出(難しい場合は郵送)

出典:https://www.city.shizuoka.lg.jp/s2746/s013081.html

中小企業等デジタル活用事業

本事業は「DX化」を目的とした制度ではないものの、DX化において必要となるデジタル技術の活用に対して支援を受けられます。

対象事業補助金の交付申請日までに静岡市で事業を営む中小企業等であり、以下に該当する者

[法人の場合]市内に主たる事業者があること
[個人の場合]市内に住所および事業所があること

受給額3分の2(上限50万円)
対象経費
  • 報償費
  • 使用料
  • 備品購入費
  • 消耗品費
  • 役務費及び委託費

<具体例>
PCやタブレットの導入、キャッシュレス決済端末の導入

主な受給条件
  • 本事業に着手する前に申請を行うこと
  • 補助事業の収支に関する帳簿と領収書等関係書類を補助金の交付を受けた年度終了後5年間は保管すること
  • 事業完了後または補助金の交付決定に係る会計年度の終了時には、必要書類を揃えて実績報告を行うこと
  • ほかの補助金の交付を受けていないこと
申請期日
(制度利用の申込)
令和7年6月9日~令和7年7月25日
対象期間
(DX化の取り組み)
交付決定通知書を受領したあとデジタル技術の導入を実施し、経費の支払いを令和8年2月13日までに完了させる
受給までの流れ
  1. 導入するデジタル技術を選定
  2. 交付申請書類を作成
  3. 「デジタル分野の知見を有する者」に意見書の作成を依頼
  4. 必要書類を揃え、電子申請にて提出(難しい場合は郵送)
  5. 事業の公式ページで採択結果が公表
  6. 交付決定通知書の受領後にデジタル技術を導入
  7. 実績報告書を提出
  8. 補助金額が確定し、交付される

出典:https://www.city.shizuoka.lg.jp/documents/3747/youkou.pdf

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DXに関する助成金・補助金制度を使う際の注意点

ここまで、DXに関する主な助成金・補助金制度を紹介しました。DX化にあたって助成金・補助金制度を利用する際には、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 「DX」を行う目的を明確にする
  • 受給額は減額または全額対象外となることもある
  • 受給後も補助事業に係る対応が必要
  • 中小企業であっても「みなし大企業」は対象外が基本
  • 受給したお金は法人税・所得税の課税対象
  • 後払いのため自己負担が必要
  • 不正受給は罰則が科せられる
  • 補助事業を利用した悪質な業者がいる

ここでは、上記の注意点について詳しく解説します。

「DX」を行う目的を明確にする

助成金・補助金制度を活用すれば、コストを抑えてDXを推進できます。特に、中小企業にとっては、資金面のハードルを下げる貴重な支援策です。しかし、「補助金が出るから」「お得だから」といった理由だけでDXに取り組まないようにしましょう。

助成金・補助金制度はあくまで後払いであり、かつ全額が補助されるわけではなく、一定の自己資金が必要になるためです。また、目的が不明確なままDX化を進めてしまうと、自社の業務にそぐわないシステムやツールを導入してしまい、かえってコストが無駄になる可能性があります。

まずはDXを正しく理解し、自社の業務改善や課題解決に向けて何を実現したいのかを明確にすることが大切です。そのうえで、制度の活用を検討しましょう。

■DXとは?

DX = デジタル技術の活用を通して企業や組織そのものの変革を行うこと

受給額は減額または全額対象外となることもある

多くの制度では、応募申請のあとに交付候補者の採択が行われます。たとえ候補者として選ばれたとしても、応募申請時に計上した経費が補助対象になるとは限りません。そのため、減額または全額対象外となることもあります。

なかには補助下限額が設けられている制度もあり、減額措置によって下限額を下回った場合には支給要件から外れてしまいます。そのため、採択自体が取り消されることもあるかもしれません。あらかじめ制度の要件を理解することが大切です。

受給後も補助事業に係る対応が必要

助成金・補助金を受給したら終わりではなく、以降も数年間にわたって事業を活用した成果を報告しなければなりません。報告が行われない場合や虚偽の報告をした際には、受給後であっても交付決定が取り消され、返還等が求められることもあります。

継続的な報告義務があることを念頭に置いて、管理体制を整えておきましょう。

中小企業であっても「みなし大企業」は対象外が基本

多くの制度では、中小企業を対象事業者としています。形式上は中小企業であっても、実質的に大企業の支配下にある企業、いわゆる「みなし大企業」は対象外とされる場合が基本です。

受給したお金は法人税・所得税の課税対象

制度を活用して受給したお金は「収益」という扱いになるため、法人税・所得税の課税対象です。

具体的な課税対象や申告方法については、税務署等に相談するのが望ましいでしょう。

後払いのため自己負担が必要

助成金・補助金制度は基本的に後払いの仕組みであるため、まずは必要な設備投資や人材育成などの費用を自己負担しなければなりません。申請・審査を経た後に、適正と認められた金額が支給される流れです。

すぐに資金が手元に入るわけではないため、あらかじめ資金繰りに余裕を持った体制を整えておくことが重要です。

不正受給は罰則が科せられる

不正受給は罰則が科せられることがあるため、注意が必要です。助成金や補助金を活用する際には、制度の目的や規定に沿った適正な利用が求められます。

虚偽の内容での申請や、交付された資金を本来の目的以外に使用するなどの不正行為が発覚した場合、交付は取り消され、すでに受給している場合には、加算金付きでの返還が命じられることがあります。

さらに、「悪質」と判断された場合には、事業者名や代表者名、不正の内容が公表され、社会的信用を大きく失いかねません。こうした事態を防ぐためにも、制度ごとに定められている交付規定や申請条件を、事前に確認しておくことが大切です。

補助事業を利用した悪質な業者がいる

悪質な業者によるトラブルを避けるためにも、補助事業の利用には注意が必要です。申請手続きが複雑なことから、代行サービスの利用や専門業者へ相談することは少なくないですが、こうしたニーズに便乗して不正な利益を得ようとする業者も存在します。信頼できる相手かどうか、慎重に見極めることが重要です。

具体的には、以下のような行為が報告されています。

  • 支援期間や料金体系が不明瞭になっている
  • 根拠が不十分なまま強引な勧誘を行う
  • 虚偽の内容を申請書に記載するよう示唆する

外部サービス利用時には、信頼できる業者かどうかを慎重に見極めてください。

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まとめ

DX化に活用できる助成金・補助金制度は、IT導入補助金をはじめ、ものづくり補助金、中小企業新事業進出補助金など様々です。これらの制度を活用することで、中小企業でも、初期投資の負担を軽減しながらDXを推進できます。

しかし、制度の活用にあたっては、基本的に後払い方式であることや、継続的な報告義務があることなどを忘れてはいけません。DX化の目的を明確にしたうえで、資金繰りの体制を整え、DX化の計画を立てましょう。助成金・補助金制度を最大限に活用するためにも、自社の実態に即したDX計画の策定が重要です。

トムスでは、DXを推進したいと考えていても具体的にどう進めれば良いのかわからないという企業様に向けて、DX戦略の設計やツール選定、伴走支援を行っています。制度選びからDX化計画の運用まで、現場に寄り添うサポートが可能です。

「DX化を促進したいけれど何から着手すべきか分からない」「DX化計画が停滞している」といったお悩みを抱えている企業様は、ぜひトムスにご相談ください。

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