ポジショントークと日本型組織の悪循環

執筆者
中川豊章
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日本型企業の特徴、ポジショントーク

「上にはいい顔をする。」「下には厳しく自分には甘い。」 どの組織でもこんな会話を聞いたことがあるはずです。

日本企業に多くみられる階層型組織は出世して偉くなることで、権限が増え給料が増える仕組みです。そのため、「上司の言うことは絶対」というような文化が暗黙的に受け入れられてきました。言うことを聞く部下もまた、このような組織の中で出世を目指すという連鎖の中で、組織はなんとなくうまく機能してきたといえるでしょう。このような組織では、自分の立場だけを考え都合のよいことを言う、いわゆるポジショントークが横行しているのです。

しかし、日本の先行き、特に地方の先行きが不透明になる中、日本の階層型組織にも無理が生じ始め、最もしわ寄せを被る若い世代からこの仕組みが崩れようとしています。

ポジショントークで辞めていく若者たち

最近大学生と話す機会が多いのですが、話をしていると、終身雇用や年功序列制度に期待しない風潮が思ったよりも強くなってきていると実感します。日本型の組織に属していると、知らぬ間に守られていると感じることがあると思いますが、これはすでに思い込みに近いことがよくわかってきます。

日本型の組織の特徴は、若い人間が年長者を支えるという年金制度に似た設計をしている為、若い世代の退職が進めば組織の運営は厳しくなってくるのは当然だということがわかります。世の中は若者が我慢できなくなったと揶揄しますが、日本型の組織においては当たり前と思われていた環境が、若い世代の感覚から乖離してきているといえるのではないでしょうか。

アップデート世代に正解を教える上司は必要ない

物心ついた時から手元にスマホがあり、あらゆるアプリケーションを使いこなす若い世代は上司に完璧な正解は求めていません。アプリと同じで、アップデートしながら正解を見つけていくことが意識的に身についているのです。

日本の階層型組織では経営層や管理職層が決めたことを正解かの如く義務として伝えられ、下が実行するという昭和の軍隊的な組織運営でしたが、もうそのスタイルは通用しなくなってきています。

海外や首都圏などではティール組織という未来型の組織運営をする企業が出てきています。簡単に言えば、ほとんど上下関係のない組織で、個々のメンバーが企業のミッションの為に、個々で考え、アジャイル開発をベースに現状の課題解決を繰り返し、成長していく組織です。

情報があふれている世の中で、年齢層や属性が似通った経営層で正解を探そうとする方が不可能になってきています。ティール組織のやり方まで実施できなくても、部分的に参考にしてみてもいいかもしれませんね。このようなことに気づき若い世代が活躍できる環境を作れる企業が増えることが、静岡のビジネスを変える1つの可能性につながると思います。