地方企業が実践すべき0.1人セグメンテーション思考

執筆者
中川豊章
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アマゾンが可能にする0.1人セグメンテーション

0.1人セグメンテーションとは文字通り、通常よりも細分化したセグメンテーションのことを指します。インターネット、もっと言えばスマートフォンが普及する前の時代は、ターゲティングといえば個人の属性である、年齢、住所、性別等1人単位でのセグメンテーションを行う事が一般的でした。しかし、スマートフォンの登場と普及の影響で個人をセグメントできる情報量が爆発的に増加しました。そのデータを最大限に有効活用するのがアマゾンだったのです。

既にプライム会員が世界で1億人を超え、一般利用者も含めると想像すると恐ろしくなるほどの利用者の購買データを取得して活用しています。リコメンド機能などを活用することで、同じ商品をチェックした人間をターゲットとして絞り込んで購買を促すような機能は、0.1人セグメンテーションの最たるものです。このモノ余りの時代に人の購買活動は数え切れるものではなく、その購買活動1つ1つでセグメンテーションできてしまうわけなので、アマゾンの行うターゲティングは精度が高くて当然と言えるでしょう。

地方企業にも必要な0.1人セグメンテーションの発想

0.1人セグメンテーションをアマゾンが実施していることだと捉えると、多くの方が自分の会社は小さいしアマゾンのようにはできないと考えるのではないでしょうか?

結論から言えばアマゾンの0.1人セグメンテーションまではできないとしても、似たようなことはどんな会社でも行う事が出来ます。アマゾン程大きなビッグデータが無い場合でも、自社の既存顧客や潜在顧客のデータを蓄積したり、購入したり、使用することは、データビジネスの普及と共に非常に簡単な時代になってきています。ツールの利用や、取得したデータの格納方法を計画的に実施すれば、ビジネスに使えるデータは腐るほどあるという事です。

しかし、このように時代が変わっても、地方のビジネスでは、まだまだ、性別、年齢でしたかユーザーを捉えないケースが多くみられます。今の世の中で求められるマーケティングには「その時どのような状態の人にアプローチするか」「どんな行動を起こした人にアプローチするか」「どんなものに興味を持っている人にアプローチするか」という視点がとても重要になります。なぜなら、東京や世界の企業はこのようなデータを活用してビジネスしているからです。

企業の企画立案者やプロモーションのディレクター、もっと言えば広報活動を代行する外部企業の担当者はこういったことがしっかりとできているでしょうか?これはツールなどではなく頭の中の思考力や発想力の問題です。もちろんアマゾンは非常に高精度な0.1人セグメンテーションを行っているので、同じレベルで実施はできないかもしれませんが、自社でできる0.1人セグメンテーションを考えることや、自社の広報活動やマーケティング活動を担う人材が0.1人セグメンテーションの発想を持っているか試してみるところから始めてみても良いのではないでしょうか?

[参考 PHPビジネス新書「アマゾンが描く2022年の世界」 著:立教大学ビジネススクール(大学院ビジネスデザイン研究科)教授 ]