改善基準告示におけるトラック運転者の働き方をわかりやすく解説!

トラック運転手のようなドライバー職は、長時間労働や長時間拘束が起こりやすい職種です。そのため、労働条件の改善を目的として改善基準告示(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準)が設けられました。

トラック運転手を抱える事業者は、改善基準告示の内容を把握したうえで、問題のない運行スケジュールを組む必要があるでしょう。

改善基準告示に定められた、トラック運転手の拘束時間や運行時間、休日について解説します。

改善基準告示におけるトラック運転者の労働時間

トラック運転手

改善基準告示では、トラック運転手の拘束時間や休息時間について細かく規定しています。それぞれの定義や基準を踏まえた労務管理を行いましょう。

拘束時間

拘束時間とは、始業から終業までの時間のことで、休憩時間も含みます。

例)
8時に事務所に集合して点呼後輸送業務にあたる
13時から1時間昼休憩を取る
18時に帰社後、1時間事務作業を行い19時に退社

上記の場合、拘束時間は8時から19時までの11時間となります。

拘束時間には、1ヶ月、1日、1週間の3つの単位で制限が設けられています。それぞれの基準を知っておきましょう。

1ヶ月の拘束時間

1ヶ月のトラック運転手の拘束時間は、原則293時間が上限です。

ただし、過半数の労働者で組織する労働組合か、過半数の労働者を代表する従業員と労使協定を締結すれば、一定の条件のもとで320時間まで延長できます。

<1ヶ月の拘束時間を延長する条件>

  • 1年間の拘束時間が3,516時間を超えない
  • 月の上限を320時間まで延長できるのは1年のうち6ヶ月まで

3,516時間というのは、1ヶ月の上限293時間×12ヶ月です。つまり、上限の延長は、閑散期の分を繁忙期に振り替えられる制度といえるでしょう。

1日の拘束時間

1日あたりの拘束時間は、13時間が基本です。また、勤務と勤務の間の休息時間は連続8時間以上なければいけません。

なお、1日の拘束時間の計算は、始業からの24時間で判定します。たとえば、5月10日の10時に仕事を始めて22時まで働き、5月11日の6時に仕事を始めて19時まで働いた場合は、以下のように判定します。

<判定1>
5月10日10時から22時(拘束時間12時間)
(休息時間8時間)
5月11日6時から10時(拘束時間4時間)

……拘束時間は12時間+4時間=16時間

<判定2>
5月11日6時から19時(拘束時間13時間)

……拘束時間は13時間(5月12日の6時よりも前に次の勤務を開始した場合は、該当の拘束時間を加算する)

1日あたりの拘束時間は24時間ごとに判定するため、5月11日6時から10時の4時間は判定1と判定2、両方のケースで加算されます。

ただし、要件を満たせば1日の拘束時間を16時間まで延長できます。

1週間における1日の拘束時間延長の回数

1日の拘束時間は基本が13時間ですが、1週間に2回まで16時間に延長できます。ただし、この場合も拘束時間と拘束時間の間の休息は8時間以上なければいけません。

休息期間

拘束時間と拘束時間の間の休息時間は、連続8時間以上なければいけません。休息時間に、拘束時間中の休憩は含まれません。

たとえば、荷待ち時間などは休息期間には該当しません。睡眠時間や自宅での生活時間など、仕事が発生しない完全に自由な時間を連続8時間以上確保する必要があります。

拘束時間と休息期間の特例

拘束時間と休息時間にはそれぞれ改善基準告示で制限が設けられています。しかし、要件を満たすことによる特例が認められています。特例の要件と内容についても見ていきましょう。

分割休息の特例

通常、拘束時間と拘束時間の間の休息は8時間以上必要です。しかし、業務上8時間以上の連続した休息時間を確保するのが難しいこともあるでしょう。その場合、一定の条件を満たせば、休息時間を分割して付与できます。

<分割付与の条件>

  • 一定期間(原則2から4週間程度)の勤務回数の半数を限度とする
  • 分割して付与する休息時間は、継続4時間以上、1日合計10時間以上

2人乗務の特例

1台のトラックに2人以上の運転手が乗る場合に限り、1日の最大拘束時間の上限を20時間、休息期間の下限を4時間にできます。

ただし、延長できるのはトラックの中に体を伸ばして休息できるスペースや設備がある場合のみです。また、上記はあくまでも拘束時間です。2人の運転手が交代で運転することで、適宜トラック内で休息を取れることを前提とした特例ですから、20時間連続で運転して良いわけではありません

隔日勤務の特例

業務上、やむを得ない場合に限り、一定の要件を満たせばトラック運転手のシフトを隔日勤務にできます。なお、隔日勤務とは、1日長時間働いた後、翌日を休日とするスタイルで1日おきに働くことです。

<隔日勤務の特例の条件>

  • 2日間の拘束時間が21時間を超えない
    (仮眠施設等で夜間に4時間以上仮眠時間を設ける場合、2週間に3回まで上限を24時間に延長可能)
  • 連続する2週間の拘束時間の合計が126時間以下
  • 勤務後は20時間以上、継続する休息時間を与える

フェリーに乗船する場合の特例

トラック運転手が輸送業務中にフェリーを利用する場合の特例です。フェリーに乗船している間は、原則として休息時間とみなされます。

仮に、フェリーに8時間以上乗る場合、該当の時間を休息期間としてフェリーの乗船前と乗船後に勤務することが可能です。また、8時間以下の場合でも、8時間の休息期間(2人でトラックに乗る場合は4時間、隔日勤務なら20時間)から該当の時間を引いて判定を行えます。

ただし、差し引いた後の休息期間は、フェリーを降りた時間から終業までの時間の2分の1以上必要です(2人でトラックに乗る場合を除く)。

改善基準告示におけるトラック運転者の運転時間

トラック

改善基準告示では、トラック運転手の運転時間についても限度を設けています。運転時間や連続運転時間の上限を守るために、適切な運行管理を行いましょう。

運転時間

トラック運転手は、拘束時間だけでなく運転時間にも上限が設けられています。物流会社は運転手の運転時間を正しく把握、管理する必要があるでしょう。運転時間の上限について解説します。

2日を平均した1日当たりの運転時間

運転時間の上限は、2日あたりの平均9時間です。1日あたりではなく2日の平均を元に計算される点に注意しましょう。なお、このときの「2日」とは、始業時刻からの連続した48時間を指します。

ただし、平均を計算する特定の日の前後平均が両方9時間を超えない場合は違反しているとはみなされません。

例)
10月3日の前後について考える場合

10月2日の運転時間……10時間
10月3日の運転時間……9時間
10月4日の運転時間……9時間

上記の場合、2日と3日の平均は9時間を超えますが、3日と4日の平均は超えません。よって、基準に違反はしていないとみなされます。仮に、10月4日の運転時間が10時間だった場合は違反です。

2週間を平均した1週間当たりの運転時間

1週間の運転時間は、2週間を平均して44時間が上限となっています。この計算は、特定の起算日をベースに、2週間の運転時間の平均によって求めます。

例)
1週目……運転時間40時間
2週目……運転時間50時間

上記の場合、1週の平均は(40時間+50時間)÷2=45時間で、44時間を超えます。2週目の運転時間を48時間以内にしなければいけません。

連続運転時間

連続運転時間は、4時間以内にしなければいけません。トラック運転手が運転を始めた後、4時間が経過した場合は、30分以上の休憩等を挟む必要があります。

ただし、30分以上の休憩は1回10分以上の分割で与えることもできます。
基準を満たす例)

  • 4時間運転後、30分休憩
  • 1時間30分運転後、10分休憩、2時間30分運転後、20分休憩

改善基準告示におけるトラック運転者の休日

改善基準告示には、労働時間だけでなく休日についても定められています。休日と労働日は表裏一体の存在ですから、基準に基づいた休息を与えるよう留意しましょう。

休日

トラック運転手の休日とは、休息期間から連続する24時間の休日を指します。なお、分割休息の特例や2人乗務の特例などを利用して休息期間が8時間未満の場合でも、休息時間と休日は連続30時間以上でなければいけません。また、隔日勤務の特例を利用する場合は、休息期間20時間と24時間の44時間以上が必要です。

例)
5月1日の10時から22時まで勤務したトラック運転手が休日を1日挟んで勤務する場合

5月1日10時~22時……拘束時間
5月1日22時~翌6時……休息期間
5月2日6時~翌6時……休日

よって、次の勤務は5月3日の6時よりも後にスタートする必要があります。なお、2日以上連続した休日がある場合、2日目以降の休日は24時間で構いません。

時間外労働及び休日労働

トラック運転手は、1日の拘束時間や1ヶ月の拘束時間が決まっています。よって、時間外労働や休日労働をさせる場合も、拘束時間の限度を守らなければいけません

1日の拘束時間は最大16時間、1ヶ月の拘束時間は原則293時間(労使協定を締結した場合320時間)です。

なお、時間外労働や休日労働が発生する場合は、事前に時間外労働及び休日労働に関する協定届を労働基準監督署に届け出ます。また、休日労働は2週間に1回までです。

改善基準告示への対応には業務のデジタル化が便利

改善基準告示に対応するためには、トラック運転手の拘束時間や運転時間を正確に把握する必要があります。さらに、一定のルールに基づいた平均値が基準を超えないように留意しなければいけません。

これらを手作業で行うのは非常に困難ですし、間違いのもとにもなります。改善基準告示を守るためには、労務管理のデジタル化を進めていく必要があるでしょう。

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まとめ

改善基準告示を守ることは、トラック運転手の健康や安全な運行を守ることにつながります。ひいては、事業者の安定的な運営にもつながっていくと考えられるでしょう。

改善基準告示は法律ではありませんが、違反すると是正勧告の対象にもなります。運転手の拘束時間や運転時間、休日の管理をしっかり行い、心身の負担軽減と安全な輸送の実現を目指しましょう。