改善基準告示の2024年改正のポイントは?

2024年4月から、改善基準告示の見直しが適用される予定です。

そもそも改善基準告示は、トラックなどの運転を行う仕事に従事する人の労働時間等に関する基準を示したものです。法律ではありませんが、安全運転やドライバーの健康のために、基準を守った運行スケジュールを組みましょう。

改善基準告示の改正内容について解説します。

改善基準告示の2024年改正の概要

改善基準告示の概要

2024年に、改善基準告示が見直される見通しです。まずは、改善基準告示の意味や改正される背景、罰則などについて知っておきましょう。

改善基準告示とは?

改善基準告示は、正式名称を「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」と言います。平成元年に労働省が告示したもので、トラックやバス、タクシードライバーの労働時間に関する基準が示されています。

ドライバーは長時間労働になってしまいがちな仕事です。雇う側が無理な労働を強いることなく、安全運転と健全な心身を保てる勤務体制を整えることが求められます。改善基準告示を守った運行スケジュールを取ることで、ドライバーの負担を軽減し、交通事故を防ぎやすくなるでしょう。

適用開始日

見直された改善基準告示は、2024年4月1日から適用されます。

とはいえ、2024年3月31日まで現行の基準で運用し、4月1日から突然新しい基準に適用するように拘束時間等を見直すというのは難しいでしょう。詳しい改正内容は後述しますが、現行よりもよりドライバーに無理の少ない基準になる予定です。

現段階から、徐々にスケジュールの見直しや余裕を持ったシフトを組めるように検討を進めていく必要があります。

罰則

改善基準告示は、法律ではありません。そのため、現状では違反したとしても罰則はありません。ただし、労働基準監督署からの是正勧告を受けたり、指導を受けたりする可能性はあります。

また、改善基準告示は厚生労働省による告示ですが、2002年からは国土交通省告示にもなっています。違反があった場合、状況によっては車両停止処分といった行政処分の対象です。

改正後の改善基準告示の罰則がどのようになるのかについては、まだ発表されていません。

改正される背景

2024年4月1日から、ドライバーに対する時間外労働の上限規制が適用されます。改善基準告示の改正は、こうした法律の適用に伴い、より負担の少ない働き方にシフトしていくために行われます。

そもそも、残業時間の上限規制は「働き方改革関連法」によって定められたものです。大企業が2019年4月から、中小企業が2020年4月からすでに適用されています。しかし、ドライバーなど、通常と同じ上限では難しい働き方の職種については、2024年4月までの猶予期間が設けられていました。

猶予期間の終了に伴い、ドライバーは年間960時間の上限の範囲内でしか時間外労働ができなくなります。トラックドライバーは長距離輸送や渋滞、荷待ちなどを原因とした長時間労働が問題視されることもあります。2024年に向けて、働き方の見直しが必要だといえるでしょう。

改善基準告示について詳しくはこちら

改善基準告示とは?目的や対象者・改善基準のポイントも解説

2024年改善基準告示改正のポイント

トラックドライバー

2024年4月からの改善基準告示改正によって、トラックドライバーの働き方はどのように変わるのでしょうか。改正のポイントを項目別に紹介します。

拘束時間と休息期間の改正ポイント

拘束時間と休息期間に関する上限は、トラックドライバーの働き方の基本となる基準です。それぞれ改正が行われているため、新しい基準に適用できるように働き方を見直す必要があるでしょう。

拘束時間

1日、1ヶ月、1年の拘束時間は、以下のように改正される見込みです。

1日の拘束時間
<現>
1日の拘束時間の上限は原則13時間。16時間まで延長可能(ただし、15時間を超えることができるのは1週間に2回まで)

<改正案>
1日の拘束時間の上限は原則13時間。延長する場合は15時間が上限(例外事項あり)。

1ヶ月および1年の拘束時間
<現>
原則293時間/月

<改正案>
原則284時間/月
原則3,300時間/年

ただし、労使協定を締結すれば年間6ヶ月を限度に、月の拘束時間上限を310時間まで延長可能です。この場合、以下の要件を満たす必要があります。

  • 年間の拘束時間が3,400時間以内
  • 拘束時間が284時間をオーバーする月は、連続3ヵ月以内
  • 1ヶ月の時間外労働と休日労働の合計時間が100時間未満になるように努める

休息期間

休息期間の規定は、以下のように改正される見込みです。

<現>
終業後、連続8時間以上

<改正案>
基本的に、終業後連続11時間以上になるように努め、9時間を下回らない

ただし、以下の要件を満たす場合、1週間に2回まで休息期間の下限を連続8時間以上にできます。

  • 1週間の運転業務がすべて長距離貨物輸送
  • 出発から帰社までの運行時間中に発生する休息期間が、自宅以外の場所になる
  • 上記の輸送業務終了後、連続して12時間以上の休息期間を与える

運転時間の改正ポイント

改正基準告示には、拘束時間だけでなく運転時間についての基準も示されています。運転の上限と、連続した運転の上限について改正ポイントをまとめました。

運転時間は現行と変わらない

運転時間についての規定は、現在と変わらない見込みです。

<現>
始業から48時間の運転時間の平均が1日あたり9時間以内で、なおかつ1週間の運行時間が2週間平均で44時間を超えない

なお、上記の判定をするときは、ある特定の日に連続する2日間の運転時間の平均を調べます。どちらかが9時間以内であれば問題ありません。

改善基準告示について詳しくはこちら
改善基準告示とは?目的や対象者・改善基準のポイントも解説

連続運転時間

連続運転時間とは、一度の運行で続けて走る時間のことです。

<現>
連続10分以上、合計30分以上の休憩を挟まずに行う運転が4時間を超えない

<改正案>
おおむね連続10分以上(10分未満の休憩が3回以上連続しないなど)、合計30分以上の休憩を挟まずに行う運転が4時間を超えない

ただし、改正案ではサービスエリアなどの混雑によって休憩が取れない場合、30分まで上限を延長可能としています。また、運転を中断した場合は原則休憩とみなされます。

予期せぬ事象

改善基準告示の改正案では、予期することができないトラブルなどが発生した場合に、対応に必要とした時間を拘束時間や運転時間、連続運転時間から差し引けるとしています。ただし、状況をタコグラフなど客観的な記録によって確認できる場合のみです。

これは、もともとの改善基準告示にはなかった規定です。「予期せぬ事情」には、交通事故やトラックの故障、天災、道路の封鎖、乗船予定のフェリーの欠航などが該当します。

特例

トラックドライバーの拘束時間や運転時間の上限を示す改善基準告示ですが、すべてを規定の枠内に納めなければいけないわけではありません。いくつかの特例が設けられていて、条件を満たすことで上限が緩和されます。

分割休息

分割休息とは、休息期間を8時間(改正後は9時間)以上確保するのが難しい場合に、休息期間を分割して与えられるようにする特例です。

<現>
一定期間(原則2~4週間程度で、最長2ヶ月)の全勤務回数の半分を上限に、継続4時間以上、合計10時間以上に休息を分割できる

<改正後>
一定期間(最長1ヶ月)の全勤務回数の半分を上限に、継続3時間以上、合計10時間以上に休息を分割できる

改正後は3回以上の分割が可能になりますが、3分割した場合は合計12時間以上の休息期間が必要で、なおかつ休息が3分割される日が連続しないように努めなければいけません。

2人乗務

1台のトラックに2人以上のドライバーが乗車する場合に、拘束時間を延長できる特例です。

<現>
トラックの中に、体を伸ばして休める設備がある場合は、最大拘束時間を20時間まで、休息期間を4時間まで短縮可能

<改正後>
基本は現行と同様だが、要件を満たす場合は下記の通り拘束時間の延長が可能

  • 一定の基準を満たす車両内ベッド等がある場合、24時間まで延長可能
  • 該当の設備で8時間以上仮眠をする場合は、28時間まで延長可能

ただし、運行終了後に11時間以上連続した休息期間を付与する必要があります。

隔日勤務とフェリー乗船時の特例は現行と変わらない

隔日勤務を行う場合と、トラック運行中にフェリーに乗船する場合の特例については、見直される予定はありません

<現・隔日勤務>

  • 2日間の拘束時間は原則21時間を超えない
  • 夜間に4時間以上仮眠時間を付与する場合、2週間に3回まで2日間の拘束時間を24時間に延長可能(2週間の総拘束時間は126時間を超えず、終業後連続20時間以上の休息期間が必要)

<現・フェリー>

  • フェリーに乗船している間は原則として休息時間とみなす
  • 上記は休息が必要な時間から差し引けるが、差し引いた後の休息時間は、フェリーを降りてから終業までの時間の2分の1以上

改善基準告示の2024年改正対策に業務をデジタル化する

2024年4月からの改善基準告示改正では、より規定が複雑になると考えられます。対応するためには、正確性の高い労務管理を行う必要があるでしょう。

とはいえ、手作業での集計や管理には限界がありますし、毎日2日間の平均拘束時間等を計算して管理を行うのは現実的ではありません。

勤怠管理をデジタル化して、業務効率化を目指しましょう。

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まとめ

改善基準告示は、トラックドライバーの健康や安全、安定的な輸送を実現するための基準です。改善基準告示を守って無理のない運行を行うことは、運送業界における信頼にもつながるでしょう。

改善基準告示の基準を守って経営を行うために、労務管理の在り方を見直しましょう。改正が行われる前に、対応できる体制づくりをしておくことが大切です。