運送業ドライバーの残業時間の上限や平均は?36協定や規制適用について

運送業におけるトラックドライバーの残業時間は、現状上限規制の対象外です。しかし、2024年4月1日からは残業時間に上限が適用されるため、残業時間の正しい把握が必要です。運送業界における36協定や残業時間の上限、規制を遵守するためのポイントなどについて解説します。

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運送業におけるドライバーの残業時間の上限や平均は?

物流トラック

トラックドライバーは、年間の労働時間の平均がすべての産業の平均に比べて長い傾向にあります。大型トラック運転者は約1.22倍の2,604時間、中・小型トラック運転者は約1.16倍の2,484時間です(厚生労働省「トラック運送業の現状等について」)。

運送業に従事するドライバーが安全に業務を遂行するためには、労働時間の改善が必要だと考えられます。

運送業における36協定

36協定とは、1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えて従業員を働かせる場合に必要になる労使間の協定です。従業員に、1日8時間、週40時間を超える残業をさせる際は、必ず36協定を締結しなければいけません。

さらに、36協定を締結したとしても、原則として月45時間、年360時間を超える所定時間外労働はできません。それ以上の残業を依頼するためには、特別条項付きの36協定を労使間で締結する必要があります。また、特別条項付きの36協定でも年720時間を超える残業は不可です。

ただし、上記はあくまでも一般的な上限です。現状、運送業界は残業時間の上限規制の猶予期間中となっています上限の対象外ですから、36協定を締結すれば、上限に阻まれることなく残業をすることができてしまうのです。

改善告知基準による労働時間の規定

労働基準法では残業時間の上限が定められていないトラックドライバーですが、厚生労働省の「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準)」には、拘束時間や運転時間についての基準が告示されています。

トラックドライバーの拘束時間は、原則として1日13時間、月293時間とされています。延長する場合は1日16時間が上限で、15時間を超えられる日は1週間に2日以内です。また、1ヵ月の拘束時間も年間3,516時間を超えない範囲内であれば320時間まで延長できます。

改善告知基準は法律ではありませんが、違反すると行政処分が下されることもあります。詳しくは以下の記事で紹介しているため、合わせてご確認ください。

関連記事:改善基準告示とは?目的や対象者・改善基準のポイントも解説

2024年から運送業ドライバーに対する残業時間規制が適用

宅配の運転手

現状、労働基準法による労働時間の上限規制が適用されていない運送業界ですが、2024年4月1日からは「自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制」が適用されます。

適用後は、特別条項付きの36協定を労使間で締結した場合の時間外労働時間の上限が、年960時間になります。ただし、この960時間に休日労働は含まれません。

なお、通常の業種には、時間外労働と休日労働の1ヵ月の合計上限や2ヵ月から6ヵ月の平均の上限、時間外労働が45時間を超えられる月数の上限などの規定がありますが、運送業には適用されません。

関連記事:物流の2024年問題とは?働き方関連改革法が与える影響と対策を解説

残業時間の上限を超過すると罰則が科せられる

時間外労働の上限は、労働基準法で定められているものです。違反すると、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

たとえば、36協定を締結せずに法定労働時間を超える残業をさせた場合や、特別条項付きの36協定を締結せずに月45時間を超える残業をさせた場合なども、法律違反に該当します。「年間960時間を超えない残業なら問題ない」というわけではありません。

なお、残業時間の上限は2024年4月から適用になるものですが「36協定を締結しないで残業をさせることができない」というのは、現在も適用されている基本的な決まりです。必ず36協定の締結と届出を行いましょう。

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ドライバーの労働時間や残業時間を正しく管理するためには、まず、日々の就業時間を正しく記録し、集計しなければいけません。

手書きで運行記録を取っていたり、アナログな出勤簿で勤怠管理をしたりといった事業者は、労働時間の管理方法を見直す必要があるかもしれません。

残業の上限規制が設けられる2024年4月になる前に、正確な労働時間が管理できる出退勤システムや、運行結果を自動で数値化できるデジタコの導入、デジタコと連携できる勤怠管理システムなどの活用を検討しましょう

ドライバーの勤怠管理に、TUMIXコンプラをご活用ください。

(まとめ)ドライバーの残業時間を管理して規制適用に備えよう

2024年4月からは、ドライバーの残業時間に上限が設けられます。これまで十分な管理を行っていなかった事業者も、より正確性の高い勤怠管理をしなければならなくなるでしょう。

その時になってから慌てることがないように、少しずつ準備を進めていく必要があると考えられます。

まずは、現状の労働時間を正しく把握し、新しい規制を超えているようであれば、労働時間削減のための対処を取りましょう。早めの準備が、スムーズな規制への対応につながります。

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