働きやすい職場認証(ホワイト経営認証)とは?

物流業界では、ドライバー不足による業務の滞りが懸念されています。人材の流出を防ぐとともに、新しい人材の流入を促進するためには、働きやすい職場環境の構築と周知が必須だといえるでしょう。

求職者に対して良好な労働環境をアピールできる「働きやすい職場認証制度」を活用して、人材確保を目指しましょう。

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働きやすい職場認証(ホワイト経営認証)制度とは

働きやすい職場認証制度は、国土交通省によってスタートした新しい認証制度です。国土交通省主導であることからもわかる通り、一般的な企業ではなく、ドライバーの労働環境に特化した認証制度となっています。

制度の概要

働きやすい職場認定制度は、2020年にスタートした国土交通省による「運転者職場環境良好度認証制度」の愛称です。運転手を目指す求職者が、職場環境を事前に把握できるように制定されました。

働きやすい職場認証制度では、トラック、バス、タクシーのドライバーの労働条件や労働環境を客観的に評価して「一つ星」「二つ星」「三つ星」の三段階の認証が行われます。

ただし、現在の申請の受け付けは一つ星のみです。2022年12月16日からは、新たに二つ星の申請受付が開始されます。一つ星の認証は、基本的な取り組みの定着を目指して制定されたものであり、中小事業者でも取得が可能です。一方、二つ星の認証は、一つ星の認証よりも高い基準が求められます。

認証を取得するメリット 

働きやすい職場認定制度の申請を行い、審査に通過すると「認証事業者」として、認証実施団体である日本海事協会のホームページに掲載されます。また、認証事業者は、認証マークを車両等に表示することが可能です。

これによって、求職者やその家族、取引先などに対し、働きやすい職場づくりをしていることをアピールできるでしょう。採用の際に求職者から選ばれやすくなると同時に、取引先からの信頼性向上も期待できます。

さらに、ハローワークの求人票への記載や、求職者とのマッチング支援といったサポートも受けられます。

人手不足に悩む物流事業者は、働きやすい職場認証制度を検討してみましょう。

働きやすい職場認証の認証項目

対策分野 認証項目
A 法令遵守等 9項目
B 労働時間・休日 3項目
C 心身の健康 4項目
D 安心・安定 トラック 8 項目、バス 8 項目、タクシー 10 項目
E 多様な人材の確保・育成 1項目

働きやすい職場認証の一つ星認証を受けるためには、25項目(タクシーは27項目)の認証項目をすべてクリアしなければなりません。

項目は、5つの分野についてそれぞれ定められています。なお、項目の中には、必ず満たさなけらばならないものと、複数の認証項目の中から一定数以上を満たせば良いものの2種類があります。

たとえば、36協定の締結と届出、従業員への周知などは必須で満たさなければならない「A法令順守等」に該当する項目です。一方、心身の健康に関する取組の4項目目では「心身の健康に関する先進的な取り組みを実施している」という内容の6つの項目で6点以上(営業所のすべてが該当で2点、一部該当で1点)でクリアとなります。

働きやすい職場認証の取得方法

働きやすい職場認証は、事業者自身が認証申請して審査を受けることで取得できます。認証取得の対象となる事業者や、認証取得までの流れについて解説します。

取得時の概要

まずは、働きやすい職場認証制度の概要について見ていきましょう。認証の申請ができる事業者の種類と、申請及び登録にかかる費用をまとめました。

対象事業者

働きやすい職場認証制度の対象となるのは、トラック事業者、バス事業者(乗合および貸切)、タクシー事業者です。なお、ひとつの企業が複数の事業を営んでいる場合は、それぞれについて申請をしなければなりません。

同じ自動車運送事業者であっても、福祉限定のタクシー事業者や個人タクシー事業者、貨物軽自動車運送事業者、第一種貨物利用運送事業者は対象外です。

料金

働きやすい職場認証を受けるためには、審査料と登録料が必要です。最初に審査料を支払い、審査に通過した場合に登録料を支払います。

審査料 50,000円(電子申請は30,000円)
複数営業所が審査対象となる場合は、1営業所ごとに+3,000円(本社除く)
登録料 60,000円
複数営業所が審査対象となる場合は、1営業所ごとに+5,000円(本社除く)

また、認証を受けた後で登録内容の変更等があった場合、下記の料金がかかります。

登録証書の内容変更 10,000円/1通
登録証書の写し発行手数料 5,000円/1通

 

申請の流れ

働きやすい職場認証の申請から認証取得までの流れは、以下の通りです。

1.審査の申請を行う

2.事務局が申請を受け付ける

3.審査料を振り込む

4.事務局が審査を行う

5.審査結果の通知が届く

6.合格だった場合、登録料を振り込む

7.登録証書が届き、認証事業者としてホームページに公表される

審査の申請時には、以下の書類が必要です。

・審査申込書

・営業所情報

・自認書

・就業規則の写し

・36協定の写し

・労働条件通知書の写し

・安全衛生委員会等関連書類の写し

・定期健康診断結果報告書の写し(50人以上の事業所)

・事業改善報告書等(行政処分の違反点数を受けている事業者)

また、審査では追加書類の提出が求められたり、対面審査が行われたりすることもあります。

まとめ

働きやすい職場認証制度の認証を受けるためには、書類の用意や費用の支払いなどが必要です。しかし、認証を受けることで以下のような多くのメリットを得られます。

・求職者に安心して働ける職場だと感じてもらえる

・認証取得のために職場環境を見直すことで働きやすい職場づくりにつなげられる

・労働環境を重視している職場だと取引先にアピールできる

・現在働いている従業員の心身の健康を守り、離職率を下げる効果が期待できる

ドライバーの人材確保と労働環境改善のために、働きやすい職場認証制度を活用しましょう。

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