ホワイト物流とは?推進運動の目的と導入時のメリット・デメリットを解説

2024年問題を前に、物流業界においてもホワイトな働き方の実現が求められています。そこで本記事では、ホワイト物流推進運動の内容や目的、メリットと課題などをまとめて解説します。

これからの物流業界における人材確保と効率の良い経営のために、ホワイト物流を目指しましょう。

ホワイト物流とは

トラックドライバーは、労働時間が前職の平均よりも約2割長いという国土交通省の調査結果があります。また、有効求人倍率も全職業平均の2倍と、人手不足が深刻です。

こうした状況を改善するために「ホワイト物流」が生まれました。ホワイト物流とは、物流業界の労働環境を改善し、働きやすくするという考え方です。具体的には、生産性の向上や業務効率化によって、長時間労働や身体的負荷の高い業務を廃し、女性や60代などでも働きやすいホワイトな労働環境を実現することが挙げられます。

「ブラック企業」「ブラックな労働環境」といった言葉がありますが、業務効率化を進めることで無駄な時間をなくせば、それだけ労働時間の短縮が可能になります。また、荷下ろしや荷積みといった肉体労働をドライバーが行うような状況を改善することで、女性や高齢者でも働きやすくなるでしょう。

ホワイト物流推進運動

ホワイト物流推進運動は、ホワイト物流を推進するために関係省庁が推進している運動です。物流企業や荷主企業が「自主行動宣言」を出してホワイト物流推進運動に参加すると、賛同企業としてリストに掲載されます。

ホワイト物流推進運動の目的

国土交通省、経済産業省、農林水産省は、トラックドライバー不足を解消し、安定した物流網を確保するために、物流企業や荷主企業に「ホワイト物流推進運動」への参加を呼び掛けています。

物流企業にとっても、ドライバー不足は重大な問題です。今後、2024年問題によって残業時間の上限が設けられると、さらにドライバー不足が深刻化してしまうでしょう。そうなる前に、企業側が自主的に対策を取る必要があります。

ホワイト物流推進運動への参加は、運動への参加の呼びかけに答えるだけでなく、2024年問題解決のための施策としても効果的です。2024年問題への対処が必要だが、何をすればよいのかわからない、指針が欲しい、という場合は、ホワイト物流推進運動の自主行動宣言を行い、それに沿った活動をしてみてはいかがでしょうか。

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ホワイト物流推進運動の期限

ホワイト物流推進運動は、2019年3月から2024年3月末日まで行われる予定です。これは、トラックドライバーの時間外労働上限規制が2024年4月1日から開始されることに起因しています。

このことからも、ホワイト物流推進運動が、2024年問題に先駆けて行われている物流企業や荷主企業向けの運動であることがわかります。

なお、ホワイト物流推進運動に参加する企業は、自主行動宣言をホワイト物流推進運動事務局あてに提出しますが、自主行動宣言が守られているかどうかを国からチェックされることはありません。あくまでも事業者が自主的に行う活動であり、守られていない場合の罰則等もありません。

ホワイト物流推進のメリット・デメリット

生産性の向上や労働環境改善によってホワイト物流を目指すことは、物流業界においてメリットとなるでしょう。しかし、デメリットがないわけではありません。ホワイト物流推進のメリットと、留意すべきデメリットについて知っておきましょう。

ホワイト物流推進のメリット

ホワイト物流の推進は、物流企業にとって数多くのメリットがあります。自主行動宣言を出してホワイト物流推進運動に参加することで得られる大きなメリットを3点紹介します。

良好な労働環境による人材確保

ホワイト物流推進運動の自主行動宣言推奨項目リストには、多くの「運送内容の見直し」に関する項目が設定されています。これは、どれも運送の効率化やドライバーの負担軽減につながる内容です。また「安全の確保」として、作業時や運搬時のドライバーの安全確保に関する項目もあります。

こうした項目を目標として掲げ、対応することで、ドライバーの労働環境の改善を目指せます。

労働環境が良くなれば、それだけ求職者に対して魅力あるアピールができるようになるでしょう。業務効率化で長時間労働をしなくても同じ売上を上げられるようになれば、その分、従業員の1時間あたりの賃金も上げられます。

また、すでに働いているドライバーに対しても、労働環境改善による離職率低下やエンゲージメント向上といった効果が期待できます。

ITシステム活用による待ち時間の削減

ホワイト物流推進運動の自主行動宣言推奨項目に「予約受付システムの導入」や「発荷主からの入出荷情報の事前提供」などがあります。これらは、どれも待ち時間の削減につながる項目です。待ち時間が減れば、それだけ効率よく業務をこなせますし、ドライバーの長時間労働も改善しやすくなるでしょう。

予約受付システムを導入すれば、倉庫にトラックが入りきらずに待ち時間が発生することがなくなります。また、ITシステムを活用して発荷主と物流業者、ドライバーが情報連携を取れば、より効率の良い配送手配が可能です。

ただし、予約受付システムの導入や入出荷情報の共有は、荷主企業の協力がなければ行えないものです。待ち時間の削減は、荷主企業にとってもスムーズな入庫や検品につながるものですから、協力し合ってホワイト物流を目指しましょう。

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パレットや機器導入による身体的負担の軽減

パレットの導入は、荷積みや荷下ろしの際に役立ちます。ドライバーが手作業で荷物を出し入れするとなると、時間も肉体的な負担もかかります。非力な女性や高齢者では、そもそも対応できない可能性もあるでしょう。

荷物を個別に下ろすことなく、パレットごと倉庫に運び込めれば、ドライバーの身体的負担を大幅に軽減できるでしょう。さらに、積み下ろしの時間がなくなることから、労働時間短縮にも貢献すると考えられます。

また、荷受け企業も受け取り作業が簡単になり、スムーズな受け取りが可能になります。

ホワイト物流推進のデメリット

メリットの大きいホワイト物流ですが、推進する上での課題もあります。しかし「課題があるからやらない」というわけにはいきません。

2024年問題が現実のものとなり、人手不足がさらに加速した際、一切の対応をとっていない物流企業は、正常な経営を維持するのが困難になると考えられます。また、ドライバーの長時間労働など、無理な働き方を強要していると、社会からの風当たりが今後強まるリスクもあります。問題点から目をそらすのではなく、解決する方法を検討していきましょう。

物流コストがかかる

生産性の向上のためにITシステムを導入したり、パレットなどを新たに配備したりするには、それだけのコストがかかります。

さらに、従来のやり方を変えるためには、荷主企業との交渉や、ドライバーへの周知、新しいシステムに関する説明会の開催などが必要になる可能性もあります。

うまく軌道に乗れば、生産性の向上によるコスト削減につながる可能性が高いものの、導入時のコスト負担は大きなものになるでしょう。

積荷や配送先の課題

パレットを使った業務効率化を行う際は、荷主企業の理解と協力が不可欠です。パレット輸送を行うためには、移動するためのフォークリフトが必須ですし、途中で小分けにすることもできません。また、荷物をラップで固定するため、どうしても荷物に傷がついてしまうリスクが高まります。

さらに、使っていない間のパレットをどうするかという問題もあります。パレットは解体できないため、保管に場所を取るところが難点です。レンタルパレットの活用や、パレットの効率的な活用法の検討といった対策を取りましょう。

走行状態の管理の課題

ホワイトな物流企業を目指すためには、労働時間の把握やトラックの走行状態の把握などが不可欠です。

しかし、これらを人力で管理しようとすると、非常に手間がかかってしまいます。複数台のトラックの空車状況や待機時間などをまとめて管理し、最適化していくためには、そのための専用システムや勤怠管理システムの導入が必要だといえるでしょう。

ただし、こうしたシステムの導入にもコストがかかりますし、これまでとは異なる作業をドライバーに行ってもらわなければいけません。現場の理解を得るためのフォローを行いつつ進めていく必要があるでしょう。

まとめ

ホワイト物流を実現するためには、これまで当たり前だと思っていた働き方や業務を根本から見直す必要があります。荷主企業と協力しながら、業務効率化やドライバーの労働時間削減を目指しましょう。

同時に、これまでアナログで行っていた業務をシステム化することで業務効率を上げることも大切です。まずは、勤怠管理システムを導入することで、労働時間や運行状況の把握を容易にするところから始めてみてはいかがでしょうか。

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